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ちょっとキュン?
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「ユウ」
「なに」
「好きだ」
「あーはいはい」
新聞を読みながら僕は適当に相槌を打つ。あからさまにあしらわれているが、リョウヤはめげない。
たとえ彼が面白くもない昨日のニュースから、目の前に自分に気をむけてくれなかろうが、かまってくれなかろうがリョウヤの愛はまったくこれっぽっちも変わらないのだ。
それを人は真っすぐな恋と呼ぶのだろうが、熱い愛を向けられている当本人にとってさほど意味もなさない感情だった。ただうっとおしい。
「おい。少しぐらいこっち向いてくれても…」
「やだ。今新聞見てんの。後にして」
「後ならいいのか?いいんだな」
「やっぱやだ」
「………」
つれないユウが、新聞紙をめくる音だけがしばらく響いた。
リョウヤは気まぐれな猫のようなユウにどこか愛らしさを感じていた。どれだけ冷たくされようがリョウヤは一向に負けない。
最近では冷たくされることによりどこか火照る病状まで覚えてきた。
そういう諸事情によりうざがられるのもまた良し、と許容範囲を広げているが、やっぱり構ってくれることが一番嬉しい。
どうすればユウが新聞紙や携帯ゲームやコウスケの手作りお菓子から己へと興味を持ってくれるか。リョウヤは仲間たちの管理や仕事を二の舞にしてそんなことばかり考えていた。
そのせいで仕事が全く進まないので、コウスケに倍以上の負担が与えられていることにも気づけないほど集中している。
だがいくら時間を費やしてもコウスケにストレスを与えようが打開策は見当たらない。そろそろ出てきてくれなければコウスケの胃に穴があいてしまうかもしれない。
どんなことを考えても駄目だ。やはり行動あるのみ。
リョウヤはテレビ欄を眺めているユウを見つめる。その視線に気づいたユウが若干うっとおしそうに目線をよこしてきた。
「なに?」
「愛してる」
「えっ」
突然の愛の告白に、ユウはついに新聞紙から顔をあげた。
たたみかけるなら今だと言わんばかりにリョウヤの喉から言葉が押し上げてくる。
「大好きでこの思いをどう伝えれば困るぐらい好きだ。お前がたとえ俺を嫌いだろうが俺はお前を愛している。だから一方通行だろうが遮断されても俺はお前が大好きなんだ」
「とっとつぜんなに?びっくりしちゃったじゃないか…」
長台詞に目を丸くしながらも新聞紙を顔の前まで掲げるユウ。
人の感情の機微に敏いリョウヤは、自惚れでもなくユウが照れているのだと悟った。待ち望んだツンデレがデレた瞬間を、彼はやはり無表情で迎えたのだった。
「ユウ」
「だっだからなに?」
「キスしていいか」
「調子のんなクズ」
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