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事情説明ぐらいちゃんとしてくれ
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「敵が攻め込んできた」
曲がり角の多い廊下を走りながらコウスケは声を荒げつつ説明する。
「どこのチーム?」
「つい最近青村って奴にあっただろ。あいつらだ」
いつかは行動におこすだろうとコウスケも予測していたのだが、こんなに早急に事を起こす馬鹿だとは思っていなかった。
いやむしろこのタイミングで自分たちの不意をつく先方は大したものだと言える。本日はカラーチームたちのボスの集まりらしいので頭領がいなければ不審に思われるというのに。
「いやあの野郎きちんと会合行ってるのかもしれねえな。つーことは頭がねえ集団ってことになるか…面倒くせえ」
「コウスケの事情なんてどうでもいいから早く説明してよ!」
拗ねたような僕の言葉に、コウスケは一度鋭い視線を投げかけてきたがはぁと溜息をついた。
「あーそうだな…狙いはお前だ。弱点らしきもんがなかったからなうちのチームは。そんでリョウヤさんの女っていうことで狙わないわけにはいかねーよなうんうん」
なに納得してんだ!
「僕は男だ!」
「知ってるわ!お前女だって間違われて喜んでたくせにめんどくせーな!だから一番最初に来た時に潜んでたチームってのも青村なんだよ!青村ってのはなかなか慎重な奴だが、お前のことは女だと思い込んでるらしいな」
流石女顔…と呟いたコウスケに満面の笑みで蹴りをくれてやりたくなったが自重する。僕えらいでしょ。
「これからどうするの」
「とりあえずお前つれて脱出する。リョウヤさんに電話いれたからすぐ駆けつけてくれるはずだ。それまでもちこたえて」
何度目かの曲がり角を通り過ぎようとした瞬間、前方の扉が思いっきり蹴破られた。
「いたぞあの女だ捕まえろ!」
恐ろしい凶器を持った青いバンダナの男二人がこちらに迫ってきた。急ブレーキをかけ、コウスケは僕の手を離した。
「お前は来た道戻れ、どっかに隠れてろ!俺はこいつら片付けたら探しにいくから!」
「おう!」
囮になると宣言してくれたコウスケを躊躇なく置き去りにして僕は猛スピードで逃げだした。
「ってちょっとは心配したりしねーのか!」
という断末魔が聞こえた気がしたが、この見捨て方はコウスケの実力を信用している風に捉えてくれたら嬉しいな。たぶん無理だろうけど。それより僕は自分の身を守らなければならない。それだけを考えなければ。
「めんどくせー本当にめんどくせぇ…」
一人残されたコウスケは頭に巻いていた白タオルを外し、殴りかかってくる男たちに応戦すべく構えをとった。
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