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(閑話) 意思の相違
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最悪!最悪最悪!!
僕はぶりぶりと怒りながら、チャリンコをかっ飛ばしていた。
最近宰次の様子がおかしいなとは思ってたんだ。
束縛するタイプっぽいのも薄々予想してたよ?小学校の時にも似たような子がいたし。
でもさ、でもさあ。
宰次の感情の起伏は謎すぎてさすがに予測できないよ。
何そのポイント!?
って所でブチ切れるんだもん!!
あんまり宰次の被害妄想が酷いから、そんなの思い込みだって教えなきゃと思ったんだけど……
「そんな風にネガティブに考えてるのは宰次だけだ」って、
「みんな宰次が萌…好きで、友達になりたいんだ」って、
どう言ったら伝わるか、言いながら考えているうちにビンタ貰っちゃったからね。
痛かった!ものっっすごい痛かった!!今もめちゃくちゃ腫れてるんだもん!何だよもうっ!
極め付けに
「飼い犬の分際で知ったような口を利くんじゃない!」
って
エエエ~~~!?僕、宰次の犬だったんですかあああ~~~!!?
……みたいな、さ……。
もちろん宰次様の犬とか、ええ、我々の業界ではご褒美なんですけどね、
そうじゃなくってさ、
僕……
そこそこ宰次の親友的なポジションなんじゃないカナー
なんて
思ってたんだよね、勝手に。
だから地味に、だけど凄くショックだったんだ。
宰次との温度差というか、距離感の違いが。
「宰次のデレが凄い」とか
自分だけが宰次のトクベツだって勘違いして、はしゃいで怒らせてちゃほんと世話ないよなァ。
宰次は僕が女子と関わってるのを見ると嫌そうな顔をしていたから、早起きして時間をずらしてみたり試行錯誤したつもりだったけど……
そもそも、そういう問題じゃ無かったのかもしれない。宰次の気持ちが分からない。
「そりゃあ飼い犬止まりなわけだよなァ」
「……」
「……あー、」
「……ハァ」
さっきまでビュンビュンと風を切っていたはずのチャリンコのペダル。
いつの間にか、急な坂道に差し掛かったようにズシリと重たくなっていた。
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