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ホールドミータイト②
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「ななな何してんだてめぇ!」
抱きついてきた宰次を引き剥がそうともがきながら、池田は叫んだ。
「――模倣だ」
「はぁ?!」
「貴様と淳……二人が抱き合っているのを見てから不条理な気分が治まらない。このままじゃ何にも集中できない……それなのに原因も分からないと来ている」
「それで何でこうなンだよ!」
「同じ行動をしてみれば何か分かるかも知れんだろう!」
「てめーバカの世界チャンピオンか!放せキモいし汗くせぇんだよ」
「なっ……」
池田は宰次がショックを受けた隙に抜け出そうとする……も、あえなく掴まった。動きを阻もうとガッチリ抱きつかれたそれは、もはや抱擁ではなくクリンチだった。
「池田、俺につらく当たるのはもう止めろ!」
「はああぁ!?お前何様だよ!」
「王様気取りだろうが宰次様だろうが構わん!」
「こっちが構うっつってんだ!」
宰次を振り払おうと暴れる池田。踵を浮かせながらも頑として放さない宰次。そのうちどちらともなくもつれて倒れこんでしまった。
「ってぇ……」
池田は身を起こそうとして、グンと引き戻された。下になっている宰次に腕を引かれたのだと気付くが早いか、グルリと世界が回転し目の前に青空が広がる。
「うっ……!ど、どけよ!」
すかさず胸に宰次が跨った。暴れようにも足は届かず、腕は地面に縫い付けられ、池田は完全に立ち行かない。
「池田、せめて理由を話せ。朝の口ぶり……昔何かあったんだろう!?」
「うざってぇな!『仲間思いです』みてぇなツラしてれば人の心に土足で踏み込んでもいいのかよ!」
「じゃあ何だ、俺は理由も分からずお前のトゲを受け続けなきゃいけないのか。おかしいだろう!」
「……ッ!」
「佐藤や林も、他の奴らもだ」
「るせぇなっ!!」
疚しい部分を突かれ、池田は一層むきになった。宰次の下から脱しようと滅茶苦茶にもがく。
自分より大きな池田を抑えこむ宰次も、額に浮かんだ汗がパタパタこぼれ落ちていた。
「ッ、はぁっ、はぁっ……クソがっ……!」
衣擦れの音、二人の荒い呼吸
「はぁ、はぁ……っ、絶対に…放さん……っ!」
ドサッ
「キャーーー!」
「じゅんじゅんが死んだーーー!」
二人はギョッとして悲鳴の先へと視線を送る。駆けつけた女子の足元には、まさに「昇天」という言葉でしか形容できない表情の淳が転がっていた。
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