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春、集い
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2コ上、いや、3コ上?と頭の中で計算していたら酔っ払い黒田の大声に邪魔された。
「おっ、じゃあちょうど俺と東の間くらいっすね!こいつ24なんで」
どさくさで人の年齢バラすな。先に訊いたのは俺だけど。
「あ、じゃあ東さんの方が近いかな?俺誕生日四月の初めなんで。東さんは何月?」
年下は確定したからタメ口はもう許すけど、なんで誕生月なんてテメーに教えなきゃなんねえんだ。
「東、答えんのおせーよ!ま、十月なんすけどね!」
黒田いっぺん黙れよ。
「10月か。じゃあやっぱり一つ違いだね」
そう言って祐樹に微笑みかける仕草で、年上と分かってもなおタメ口にイライラする原因がわかった気がした。
その穏やかな目。背が高いからってちょっと前屈みに祐樹を見下ろす笑顔。優しい口調。言ってしまうと、祐樹のことを子供のように扱っている。
コイツ、俺のことガキだと思ってんだ。
そうと分かると今までよりさらにムカついてきて、祐樹は他の三人の会話を無視してたまたま目の前にあった鶏の唐揚げの皿を手前に引き、ひたすら食べ続けた。
「ごめん、何か気に障った?」
さすがに態度が悪いのは自覚しているし、当然向こうも気が付いて尋ねてくる。ほっとけ。つか、何か気に障ったと思うならまずその話し方を止めろ。
「東のヤツ、瀬戸さんが格好いいから嫉妬してるんですよ〜。ほら、コイツどっちかっていうと可愛い系の顔してるでしょ?コンプレックスなんですよ!女にモテるのは変わんないだろうから別に良さそうなもんですけど」
またしても黒田が代わりに答える。勝手に人のコンプレックス作るな。まあモテるって言われて悪い気はしないよなあ。……そんなにモテないという事実は置いといて。
「……うるさい、黙って先輩」
一気に飲み込んだ鶏肉が胸につかえてボソッと言った風になってしまっただけなのだが、黒田は案外本気に取ったようで、
「お前な。身内だけじゃないんだぞお。ま、身内でも先輩とか上司にはもっと気い使っても良いくらいだけどな、お前は。田口さんなんてこれでも教頭なんだぞ〜」
と、酔っ払いながらもローテンションで軽く祐樹を叱った。
まったく。そんな明らさまに落ち込むなよ、先輩。
「すみませんでしたー。次から気をつけますね、酔いどれダメ先輩!」
涼しい顔で謝ってやると、黒田は先ほどまでの明るさを取り戻して笑いながら言った。
「言ったそばから思っきしバカにしてんじゃねえか!」
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