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快晴〔2〕
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「あの…、兄さん。 なんか怒ってる?」
険悪な顔でもそもそと食事をする兄に
顔色を伺いながら恐る恐る尋ねる。
手と口は動いているものの、その目はずっと自分を睨みつけたまま。
ある意味で ”見つめられている” というこの状況が嬉しくない訳ではないが、ここまで殺気を放たれるのは流石に身体に悪い。
「別に怒ってねーよ。 ただ苛ついてるだけだ。」
「いや、それってつまり怒ってるんじゃ…」
「だから怒ってねーって。っあんな屈辱的な事続けて2回
もされたんだ。俺にだって苛つく権利くらいはある。」
「あ、2回じゃなくて3回。…」
「っテメー、俺を本気で怒らせてぇのか!!」
思わぬ失言をしてしまい、鬼の面を着けた兄に
勢いよく胸ぐらを捕まれる。
しかし初心者の兄を2連続で抱き、気を失ってからも堪らずに行為し続けた事は事実。
正直3回でも足りないくらいだ。むしろこんな回数で我慢出来たのは我ながら賞賛に値すると思う。
小さく「ごめんなさい」と言って目を瞑り、
後に襲い来るであろう衝撃に身構える。
だがいつまで待っても手が出される気配はない。
チッという軽い舌打ちの後、プルプルと震えていた胸元の拳が静かに離された。
「…そういえばお前、部屋のダンボール、あれ一体何だ。
まさか、自分で遺品整理とかしてたんじゃねーよな。」
「へっ⁉︎ …いや、ただ単に
引越しの準備してただけっていうか… あ。」
「はぁ?? っお前、俺を騙してたのか!!」
「いやいや! 手紙にもちゃんと書いたし、騙すつもりな
んて全然! 兄さんが有り難く誤解してくれただ
けで…」
気が抜けていただけについ本当の事を口走ってしまった。
即座に訂正しようとするが、口を開いても
面白いくらいに言い訳しか出てこない。
ガタンと大きな音をたてて席を立つ兄。
急ぎ足でテレビ前のテーブルに行き、無造作に置かれていた白い手紙を手に取った。その衝撃を受けた紙がズレ、2枚目が現れる…
「…っお前、こういう重要な事は最初に書け!!
こんなん分かる訳ねぇだろうが!!」
「いや、普通なら気づくでしょ!」
兄の顔がみるみる内に歪んでいく。
額に手を当て眉間にしわを寄せ、何かを断念した様に
堪えた声で静かに言葉が発せられる。
「今更お前に出て行けとは言わねぇ…。でも、
この俺に指一本でも触れたら次は無いと思え。」
「え? っそれは流石に無理があ..」
「 分 か っ た な ?」
「………………はぃ。」
目が本気だ。のしかかる無言の圧力。
5歳の差から成る幼い頃からの抗えぬ上下関係。
追い出されなかっただけでも喜ぶべきなのだろうか。
我慢の帯がキッパリと切れてしまっている自分には
こんな条件 少しも耐えられる気がしなかった。
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