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童 3
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澄和side
「澄和、こっちへおいで」
物悲しげに微笑む組長。
怒られるわけじゃないらしいけど、きっと良くないお話なんだ。
いつも強そうで威厳のある顔をしてるのに珍しい。
組長の胡座の上に座ると、大きな手で頭を撫でられた。
「少し前、剣道の稽古してたとき呼吸がおかしくなって病室で検査しただろう?」
「それなら、もう平気です!」
その言葉に嘘は無かった。
もう元気だと言っても聞いてもらえず、あの日から勉強や稽古は全部無くなって僕は一日中ベッドの上で過ごす日々を過ごしている。
「澄和…聞ききなさい」
組長は目を合わせるために僕を振り向かせ、頬を両手で包み込む。
そして。
「明日から、療養させる。
澄和。
…お前は、………… 」
いつになく少し震えた声で、告げた。
喉の奥がひゅっと鳴った気がした。
「…ご、めんなさい……。…っごめんなさい!」
湧き上がってきたのは、恐怖でも不安でもなく
────謝罪。
組長も姐さんも、そして千景も
貰われた僕のことを組の一員じゃなく家族として
一緒に過ごしてくれて。
貰われていなかったらどんな人生を送ってたのかは分からない。
でも、大好きな千景の従者になれるなんて
大好きな人達と一緒にいられるなんて
この上ない幸せだった。
ご恩を返すという意味でも、
何としてでも必ず最高の従者になるんだ。
そう、俺の最大の使命は
"柊 千景の有能な従者になること"、だ。
…そう、思ってたのに。
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