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玄関の扉の前で先生が立ち止まった。鞄から銀色に光る鍵を取り出して鍵穴に差し込む
カチャリと音がなると扉を開けて「入れ」とレディファーストみたいなことをしてくれる
そんなところが女慣れしてる感出てるんだよなぁ
お邪魔します、と言って玄関に足を一歩踏み入れるだけでわかった
先生のにおいが充満している
思わず両手を広げて深呼吸してしまう
ん?
柑橘系の香水…
…に混じって獣臭いにおいもする…
なんていうか…犬っぽい
「なにやってんだ」
「うわっ、と」
先生は軽く俺に蹴りを入れると靴を脱いで先に奥へ入っていった
俺も靴を脱いで先生のあとを付いていく
廊下には扉が5つ
3LK?
奥の扉がリビングで、一つがトイレ、残りの三つはまた寝室とか別の部屋か?
案の定奥の扉を開けるとリビングが広がっていた
先生の部屋という物珍しさにキョロキョロと見回してしまう
生活感ないなぁ…
全てがきっちりと揃えてある
リモコンの並べ方も背の順だ
でも面倒くさがりなところもあるようで8月現在にコタツがある。もう意味がわからん
あ、ダイニングもあるや
3LDKじゃん。絶対ここ値段高い。先生の実家って実はお金持ち?
そんな疑問を抱えつつ荷物を部屋の隅におろす
「腹減ったなー。なんだっけー?お前が食べたいの」
冷房のスイッチを入れてネクタイを外し、「腹減った」とお腹を撫でつつ先生が俺を見てニヤニヤと笑っている
俺が『オムライス』っていうのがそんなにおかしいのだろうか?
「………もう先生の好きなやつでいいです」
揶揄られているような気がして先生の期待には答えてやらない
拗ねたようにそう返事をすると先生は慌てて謝ってくる
「だあーごめんごめんって!オムライスな!めっちゃ美味いオムライス作ってやっから!そんな拗ねた顔すんなよ、ほぼ表情変わってねぇけど」
性格も口も悪いくせに『ごめんごめん』なんて似合わなすぎてギャップにキュンとする
先生は7と18を表示するデジタル時計を確認すると立ち上がってキッチンへ向かう
「あ、俺も手伝います」
お邪魔してる分際でご飯まで作ってもらうのは悪い気がして咄嗟にそういってソファにかけていた腰を持ち上げる
「あ?お前身体傷だらけなんだからそこで休んどけバーカ俺に気ぃ使ってんじゃねぇわ」
キッチンのカウンターから覗く先生は俺に手で追い払うジェスチャーをすると奥まで入っていってしまった
とさ、とソファに体を落とすとふわっとした低反発なソファの弾力が身を包む
無意識にくあっとあくびをすると一気に眠気が襲ってくる
昨晩は寝心地の悪い床で、しかも体中が痛んだからあまり深い睡眠がとれていない
そのせいもあってソファに座ったまま先生の包丁のタンタンタンという音を耳に、すうっと暗闇に落ちていった
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