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校庭の方まで戻ってくると、そこにはまたあの人の姿があった。
「あ!海堂く〜ん!」
そう、工藤先輩の姿だ。
最後に会ったのはあの映画の日。
怒らせたまま帰ってしまったけど、今の様子を見るとあの日のことはあまり気にしていないようだ。
今日は他の友達もいるようで、3人の女子高生がこちらへ向かって歩いてきた。
「この子があかねが言ってた麗音くんって子!?すっごいイケメンじゃーん!」
「やだぁ!彼女もちじゃん!あかねドンマイ!」
「ちょっと!まず私かっこいい子がいるのって話しただけでしょう?ごめんね、海堂くん」
工藤先輩の友達はあまりお嬢様って感じではないが、仲は良さそうだ。
っていうか今の何…?
まるで工藤先輩がれーくんのこと好きみたいな…。
って、好きなんだよね……、たぶん。
「そちらの可愛らしい子は広翼くんかしら?」
「え、あ………」
「えぇ?!この子女の子じゃないの?!信じらんない!!え、やば!かわいすぎー!写真撮ろー?」
「わぁあ」
工藤先輩が僕の正体を突き止め、そして僕を女だと思ってた工藤先輩の友達二人はすぐさま僕を取り囲んだ。
周りのお客さんたちもその声を聞いてざわざわと寄ってくる。
「え、あれ男の子なの?」
「めっちゃ可愛くない?ヤバイでしょ」
「桃のリストバンドだから一年だぜ?あんな可愛い子いるんだ」
あっという間にたくさんの人だかりができてしまい、大きな男の人もたくさんいて、れーくんを見失ってしまった。
どうしよう。
工藤先輩にれーくんを取られたくない。
でもそんな思いも虚しく、僕は周りに腕や脚やと触られて気持ち悪くてしゃがんでしまった。
もうれーくんは見えないし、この場で動くことすらできない。
れーくんならきっと助けてくれる。
早く…っ!
目を瞑って助けを待っていると、聞こえたのはヘラヘラした関西弁だった。
「ほらほらそこ退いて〜。うちのクラスの姫は今からコンテストの準備やねん。白雪ちゃん見たい子はミスコン見にきてや〜。ほんで投票もよろしく〜」
「桜井くん…」
「ほら、行くで。化粧結構崩れてるし最初からやり直しや」
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