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逃亡後・南倉
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ユキトの食事や衣服を買いに行くついでに、南倉は一度事務所に――もちろん警戒しつつ――戻った。
粉々の例の機器はそのままに、テーブルに放置された罪のない御守りをポケットに入れる。犯人が利用したが、少年にとってはかけがえのない物だ。今すぐには渡せずとも、折りを見て返せばいいだろう。
そして、それと入れ換えるようにスマホを取り出すとタップして耳に当てた。盗聴防止が施されている特別仕様だが、きっと無駄だ。
『よぉ南倉。狐目やられちまったらしいじゃねーか』
3コールで出た面白がるような声音に、速攻で南倉は「お前の仕事が遅いからだよ」と切り返した。
電話の相手は南倉に協力してくれている件の同業者、名は竜(りゅう)だ。『はあ~?』と男にしては甲高い声で竜は抗議する。
『何だよその言いグサは。誰のお陰でお坊っちゃんのカタキが分かったってんだ?ん?』
「それはお互い様だよ。俺だってお前を何度も助けてるだろ…ってか寧ろ俺の方が助けてる回数多いからね?だから、また協力してよ。大急ぎでユキトくんの学校関係者全員の素性を調べて欲しいんだ。生徒も教師も用務員も残らず」
『…どうした?』
さすがにそれなりに長い付き合いだ、南倉が焦っている事に気付いたらしい。信用はある男なので探偵が要約して話すと、『そりゃテメェのミスじゃねーの』と返ってきた。
言われずとも分かっている。ひっそりと南倉は溜め息を吐いた。
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