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とはいえ、ここでの仕事をきちんとこなさなければ鳴上から両親に何を言われるか分からない。とりあえず俺の実力を見せつけて早く一ノ瀬の家へ帰ろう。そう思って一歩踏み出したところで何かにぶつかった。
「うぎゃっ」
「あ?なにお前」
目線を下に向けると俺と同じ執事服を身につけたチビが床に尻もちをついていた。天パなのかふわっふわの髪をしたそいつは、俺を見上げて後ずさりをする。
「ああああのっ、僕は久野瑞希(くのみずき)って言います!修弥くんの教育係になったのでここで待機してました!」
「ああ、お前が......てかなんで尻もちついてんの」
ただ聞いただけなのに久野は肩をビクッと震わせて土下座をする勢いで頭を下げた。
「と、扉を閉める音でびっくりしちゃって!ごめんなさい!」
ずいぶん腰の低い教育係に軽く引きながらも俺は手を差し伸べる。俺のせいで驚かせてしまったみたいだし、こういう従順そうなやつは嫌いじゃない。
上手く利用できそうだと最低なことを考える俺とは裏腹に単純な久野は瞳を輝かせ、俺の手を取って立ち上がった。
「ありがとう!」
「いや......」
「君が修弥くんだよね?僕も高校一年生で同い年なんだ!修弥って呼んでもいいかなっ?」
「は?お前誰に向かって.......」
こんな使用人ごときに呼び捨てされるなんてありえない。そう思ったが今の俺はこいつと同じ立場にいるんだった。
今すぐ立場を名乗れば久野を都合のいいようにこき使うことが出来るが、それはなんだか負けたようで面白くない。俺は実力で這い上がれる男だからここは黙っておこうと、俺は久野の提案を了承した。
「......ああ、好きに呼べ」
「やった!僕のことも瑞希って呼んでっ」
俺が頷くと瑞希はニッコリと笑って「仕事教えるからついてきて」と歩き始めた。
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