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「凌真様、どうなさいましたか?」
俺の声に振り返った鳴上さん。さっきより幾分か目が和らいでいて、いつも通りの無表情な鳴上さんに戻っている。
「ごめんねー、兄貴が迷惑かけて」
「いえ......こちらこそ申し訳ありません。お見苦しいところを」
「いやいやー気持ちは分かるし」
修弥と兄貴が仲違いしてからも、ずっと修弥のそばにいたのは鳴上さんで、その修弥が性欲大魔神の餌食になっていたら心配するのは当たり前。
俺が同意すると、鳴上さんは一呼吸をしてから話し始めた。
「......今朝の修弥様は口ではお怒りなのですが、どこか嬉しそうで......それを見ていると何とも言えぬ気持ちになってしまい......」
「鳴上さん......」
「......申し訳ございません。くだらないことを言いました。お忘れになってください」
頭を下げた鳴上さんに俺はにっこりと微笑む。
「んー、それは無理かなー」
「......?」
「だって、鳴上さんが弱音言うなんてレアだし」
「......」
「あは。じゃあ俺の悩みも聞いて。それでおあいこでしょー?」
俺がそう提案すると鳴上さんは腑に落ちない様子で、だけど俺に従った。
「.......かしこまりました」
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