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「......」
あれから、修弥様は私に抱きつきながら、お眠りになってしまった。
ずいぶん泣いたのか、目元がひどく腫れている。
「ん.......」
「修弥様?」
さらに強く抱きしめてきたかと思えば、眠ったままの修弥様が小さく呟いた。
「けん、と......」
「......っ」
私には決して見せない表情で、声で、あの方の名を呼ばれ、胸が痛む。
自分が賢斗様の代わりになれないことは分かっていたけれど、これはずいぶん辛いものだ。
けれどこれは自ら選んだ道なのだから。
そう思って、修弥様の頭を撫でていると、携帯がなった。
修弥様を起こさないように離れ、画面を見ると、そこには見慣れた名前が。
万が一、修弥様に聞かれては困るので、部屋から出て通話ボタンを押す。
「はい。鳴上です」
『あ、やっほー。調子はどうー?』
間延びした声が、耳元で響く。
なぜだか今日は、その声に心が落ち着くのを感じた。
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