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episode.114 契約と本物
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〜恋side〜
恋はしまった、と思った。
小雪の発言に、貴也の表情が変わったのだ。
「いいえ?2人はお付き合いしてます。」
貴也ははっきりとそう言った。
「それって君の妄想でしょ?」
「違います。」
「でも2人って契約で恋愛してるんだもんね?」
小雪は赤津と恋にそう問いかけてくる。
赤津も恋も否定はできなかった。
「だとしても、です。俺、琉さんのことは、小さい頃から見てきたけど、これは演技じゃないです。」
「そんなのわかるのー?だって琉さんは俳優だよ?」
「2人には愛があります。」
貴也の言葉も小雪の言葉もいちいちトゲがある。
このままでは雰囲気も悪くなってしまう。
「あー、ストーップ!!」
「……明希さん!」
「貴也くん、まあ、うん、これはもういいからさ。」
「……わかりました。」
明希と恋で貴也を止めて、なんとかその場は収まった。
「…そういえばさ、恋くん、貴也のことは貴也くんって言うのに、俺のことはいつまでも木之本さん、だよね。」
「おい、さりげなく名前呼びさせようとしてんなよ。」
木之本の言葉に、赤津が反応する。
「いいじゃん別に!明希ちゃんだって琉さん、って呼んでいいと思うし。」
「確かに……それもそうですね。紘さんは紘さんなのに。」
「じゃあ、翔也さん……?」
「うんうん。千秋ちゃんも名前で呼んでいいよ!」
"翔也さんと、琉さん、ですか?"
「……手話だとしても言われんの嬉しいな。距離縮まった感じ。」
「じゃあこの流れで恋さん、琉さんって呼んじゃいましょうよ!!」
「はぁ?!どの流れだよ?!」
貴也の言葉に恋は声を上げた。
「ほらほら、照れないでー!」
「照れてないって!」
貴也はニヤニヤと恋を見てくる。
「いやー恋さんは呼べないでしょ?だって契約、だもんね?」
「こら小雪。」
小雪の言葉に赤津が注意をする。
「だってやっぱり、仕事とプライベート分けるのと同じで、契約と本物は分けないとじゃない?」
恋はそう言われて黙り込んだ。
確かに小雪の言うとおりなのだ。
契約と本物は違う。
だから、自分が本当に好きだとしても、赤津が演技なら、それは全く意味がないのだ。
「……あー、名前なんてもうどうでもいいから、ご飯食べよ?もうお昼の時間だし!!」
明希が気を利かせて話を変えてくれたが、恋の胸はズキズキと痛むままだった。
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