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〜小雪side〜
「小雪さん…ごめんなさい…」
「いいよ!恋さんが謝ることないって!ちょっと心配したけど、戻ってきてくれてよかった。指輪も見つかったみたいだし!」
ホテルを飛び出して行ってしまった恋が戻ってきて謝ると、小雪はにこりと微笑みながらそう言う。
対して、フロントマンに声をかけて一緒に入ってきたらしい琉には、鋭い視線を向けた。
「琉さんさ、いい加減にしなよ本当に。」
恋が心配そうな顔をしているから、きっと2人は仲直りをして、きちんと話をしたのだと思う。
自分が口を出すべきではないのかもしれないが、琉に一言言ってやらないと気が済まなかった。
「あんだけ恋さん泣かせてさ、何考えてんのさ?この前もケンカして恋さんに怒られたばかりだよね?恋さんが琉さんのことを愛してるからこうやって話も聞いてもらえて仲直りできたかもしれないけど、どれだけ恋さんを傷つけたのかわかってる?」
一言、ではすまなかったのは仕方ない。
「…わかってる。」
「恋愛だからね、いろいろあるのはわかる。でも今回のことは琉さんが悪い。琉さんがしっかりしてれば、恋さんは傷つくことなかった。」
「こ、小雪さん…もう、いいですから…」
「ダメ。今回はきちんと反省してもらうよ。恋さんの優しさにいつまでも甘えてるんじゃない!このヘタレ!」
琉は自分が悪かったとわかっているからなのか、何も言い返さない。
しゅん、として小雪の言葉を受け止めているようだった。
「…とはいえ。2人の問題だし?今回は本当に色々あったみたいだし、浮気とかではないようだから?僕からは以上。これからはちゃんと恋さんを大切にして、幸せにしなよ?!」
「お、おう。」
「恋さん、このヘタレがクズみたいなことしたらいつでも僕に連絡ちょうだい!殴ってあげるから!」
以前は、琉に想いを寄せていたし、恋のことを邪魔だと思っていた。
だが、恋は一途に、琉を想い、愛していた。
自分はそれにはとても敵わないし、琉も恋を愛している。
2人にうまくいってほしいと思っているからこそ、今回の琉にはガツンと言ってやりたかったのだ。
「なんにしても、僕はいつでも恋さんの味方だから!」
「ありがとうございます。」
嬉しそうに微笑む恋を見れば、小雪の心も温かくなる。
こんなに可愛らしい人が今時いるだろうかと思うほど、恋は健気で可愛く、小雪は兄の気分であった。
「恋さん傷つけたら…わかってるよね?」
「はい…」
琉は真剣な表情で頷く。
「よーし!それじゃあ昨日と今日使ったお金は全部琉さんに請求するから!」
「えっ…?!」
領収書を琉に渡すと、琉はぎょっとした。
「もちろん、恋さんに支払ってね?あ、でもそれだと同じ家で暮らしてるし…じゃあそのお金分、恋さんの好きなもの買って!」
「え…え?」
困惑している琉をよそに、小雪は満足げな表情を浮かべた。
そんな小雪に、1番敵に回してはいけないのは、小雪か眞弓か、琉は1人、悶々としていたことを、小雪は知る由もなかった。
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