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3.渡良瀬先生*
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勉強が苦手な彼も、あんなに頑張っている。だったら、勉強ぐらいしか取り柄がない僕はもっと頑張らないと。
時刻は午前2時を回っていた。少し時間をかけすぎたかもしれない。
いや、これぐらいこだわらなきゃダメだ。最後くらいは彼の役に立とうと決めたのは、他ならぬ僕なのだから。
それでも、徹夜してしまった昨夜よりはだいぶ早い。今日こそ、少しは寝られそうだ。自分の勉強もしなければならないけど、それは明日の朝、学校でやるとしよう。
僕は布団に入って目を閉じた。瞼の裏に浮かぶのは、今日間近で見た、彼の凛々しい横顔だった。胸が暖かくなって、思わず頬が緩む。この幸せに抱かれたまま、眠りに落ちたい。
けれども、徐々に膨らむ身体の違和感がその願望を壊す。仕方なく布団をめくってみると、予想通りの光景があった。部屋着の股間の部分の布地が不自然に圧迫されている。
汚らわしい。こんなだから、キモい、と彼に罵られてしまうのだ。
「っ、ん……」
僕はさらに汚らわしい行為を重ねることでその汚れを塗りつぶしてしまおうとした。醜くいきり立つ雄を握って、そのまま手を上下に動かす。
「はぁ……あ……っ」
まだ知らない、恐らく一生知ることのない彼の手の感触を思い浮かべる。言ってしまえばただの妄想だ。くだらない。
それでも、一度始めてしまったら止めることはできなかった。……いや、自分の浅ましさを嫌悪すればするほど、いっそう気持ちが昂ぶってしまうのだ。
「ん、ん……っ、あ……」
軽く擦っただけなのに、すぐ達しそうになる。僕は慌てて枕元の箱からティシュを取り出して、先端にあてがった。
「あ、ぁ……っ、あ…………」
僕の欲望が強く脈打って、勢い良く飛び出す液体の音がする。意図的にではないがしばらく禁欲生活を送っていたからなのか、大量の白濁がティシュから染み出して、僕の手を汚した。
手、洗わないと。
洗面台の前に立ち、冷たい水で念入りに手を洗う。水で手が冷えていくほど、僕の思考も鮮明になっていく。思考が鮮明になるーーそれは、自分のしていたことと向き合うことを意味していた。そんなことをしても、ただ後悔の念が湧き上がるだけなのに。
ほら、そう思ったそばから、マイナス思考に取り憑かれている。
ーー彼のことは諦めると、とっくに決意したはずだったのに。
それなのに、彼のことを想いながら欲望を満たしてしまった。それだけではない。僕はいつも彼を目で追っている。彼のことを考えている。
僕は僕自身の決意を、裏切り続けている。
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