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進展なんてない。
俺たちの生活に進展なんてない。
進展があってはいけないんだ。
俺の中では、進展が起こった場合、
みのべくんがどこかへ行ってしまう時が、
近づいていくことになっている。
だから、進展は、
あってはいけないんだ。
***
ある朝、みのべくんとテレビを見ていた。
テレビ越しに、美味しそうなパスタが、よく分からない食レポで表現されている。
みのべくんはそれを見て、キラキラした目をしていた。
「みのべくん、パスタ食べる?」
「えっ、なんで??」
「なんか、食べたそうにしてたからさ」
俺がそう言うと、みのべくんは、へへ、と笑った。
「おにーちゃんにはなんでもバレちゃうなあ!」
「あっ、合ってたんだ!......今晩の飯はパスタにする?」
「いいの!?じゃあパスタにする!!!」
みのべくんが天使級の笑顔を浮かべる。
かわいい。
「......というか、お昼も決めなきゃだねみのべくん」
「あっ、ほんとだあ〜」
今の関係性なんてものがぼやけてしまうほどの、ほのぼのとした会話。
全ての真実を、ほのぼのという光の影に隠す。
俺たちにとっては、それこそがこの偽の幸せを真実にする術。
幸せとして認識するためなら、時に光を演じたりだってする。
みのべくんがいずれ、俺のことを光として認識してくれる幸せのためなら。
俺をきちんと好きになってくれる未来なんて無かったとしても。
輝く未来の理想像をきちんと描くその日まで、
俺を光として認識してくれるなら。
その時までなら、
光を演じてもいいだろう?
......なぁ?
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