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どろどろの邪心(8/12)
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……ばーちゃん、かーちゃん、とーちゃんと、食卓で夕食を摂る中、俺は声を張り上げる。 「本当だよ!本当に居たんだもん!」 「もう…いい加減変なこと言うのはやめなさい、達希」 「優香、達希は本当の事言ってるかもしれないだろう? 父ちゃんは達希の事を信じるよ」 「とーちゃん…!」 「明人さんの言う通りだ…。 ばあちゃんも、たっちゃんの言う事、信じとるよ」 「もう、二人とも達希には甘いんだから……」 とーちゃんとばーちゃんは、白の事を信じてくれたけど、かーちゃんは信じてくれない。 ぷうっと頬を膨らましていると、とーちゃんが俺に話かけてきた。 「ところで達希、お目当ての蝉は捕まえられたか?」 「うん。あ、でも白にあげちゃった。そしたらね、白は蝉を逃がしたんだ。 蝉は一週間しか生きられないからけんめーなんだって」 「ほう……その狐さんは賢く優しいなぁ」 「うん!白、すごい優しいんだ」 白が褒められると、自分が褒められたときより嬉しいや。 頬を緩ませて、真っ白いご飯を口の中にかきこんでいると、ばーちゃんがかーちゃんに話しかけた。 「優香…、少しはたっちゃんの話を信じたかい?」 「はぁ……。母さん…私、幽霊とか信じていないの。 でももし、本当にその狐さんがいたとしたら感謝するわ。迷子になった達希を助けてくれたんでしょう?」 「かーちゃん……!信じてくれた!?」 「こら、調子に乗らない。早く夏休みの宿題を終わらせなさいよ」 「はぁーい。ごちそーさま」 食事を終えた後、縁側の方へ行って座りこむ。 スズムシの鳴く声を聞いてると、また白の事を思い出した。 白……どうして? どうして…また会ったらいけないの?
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