アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ちぎり、ちぎり(15/21)
-
秋、冬と、季節が物凄い早さで過ぎていくように感じる。
一生懸命頑張ってるのに、成績は相変わらずだ。癇癪を起こしたこともあった。
かーちゃんやとーちゃんを沢山困らせた。
けど、白のことを考え何とか堪えた。
白と一緒に過ごす日々を何度も思い描いた。
その度、頬が緩む。
人肌が恋しい寒い冬は、白から貰ったマフラーを首に巻き、幸せにひたった。
会いたい……会いたい。
早く会いたいよ、白。
必死に勉強に取り組み始めて数ヶ月。
ようやく俺の頑張りが形となって表れはじめた。でも、まだまだ。
白と最後に会った日から一年が経過しようとしていた…。
一年、また一年。
そんな調子で日々は過ぎていき……結局、浪人してしまった。
その頃にはもう誰も俺の進む道に反対してこなかった。勉強に励む俺を、黙って応援してくれる。
何故B大を目指しているのか?は、何回も聞かれたけど……。
流石に、"白と一緒に過ごすため"なんて言えない。
頭おかしくなったと思われてしまう。
大人には、白の姿は見えないから。
……何より、"白の存在"を否定されたくなかった。
もう白と何年も会ってない…。
今の俺には白の姿が見えるのだろうか?
子供の心を失っていないだろうか?
心配になる……白という狐が、本当に存在していたのかが。
……信じる心。大丈夫、白はいる。
だってほら、俺の記憶の中で今も鮮明に……。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 72