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聞きたいこと -10
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≪駆≫
「わりぃ!待たせた!」
自慢の足で駅から軽めに走り、
ザリガニのハサミのようなアーチに辿り着く。
「大丈夫だよ、1個後の電車から
遅延してたんだってね、人身事故?」
彼女は後ろの席の鈴原すずらんちゃん。
始業式の日に少しだけ紹介した気がする。
「いや、なんか野良猫が線路の真ん中で
倒れてたらしい、事故にはならなかったって」
「おお、それはよかったぁ!」
そしてコイツは俺の犬。恭助。
今日も尻尾生えてたら絶対振ってるだろ
ってぐらいご機嫌が良いようだ。
むしろコイツが機嫌悪いのを見たことがない。
「動物って普通電車来たら避けそうじゃない?
怪我でもしてたのかな〜」
彼女は恭助の幼馴染、久住 絵理夏(クスミ エリナ)。
俺たちとは別の高校に通っているが、
恭助としばしば一緒にいるので何度か
会ったことがある。
今日は俺の最寄駅の一つ隣の駅、
フォルテリアにあるテーマパーク
ファンタジック・プラネットで
キャンペーンが行われている。
というのも高校生男女2人ずつ、かつ全員が
年間パスを持っているグループで来園すると
待ち時間が0になるチケットが1人3枚も
貰えるということだった。
最初にこれを聞いた絵理夏が恭助を誘い、
その恭助が俺を誘った。そして年間パスを
持っている女子をクラスで探そうという話を
していたところ、後ろの鈴原が偶然パスを
持っており声をかけて来た、という流れだ。
「よし、じゃあファンプラの入り口まで
行こうぜー!」
そう言って恭助が逆方向に歩き始めるのを
絵理夏が髪を引っ張って制した。
なんかこうして見てると夫婦みたいだ。
「城野…くん」
鈴原が不意に俺を見上げてきた。
彼女の身長は150センチに満たないので
かなり下から見上げることになる。
このアングル、なかなか良い。
「今日は楽しもうね」
そう言ってニッコリと笑う鈴原。
なかなか笑顔が似合う子のようだ。
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