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「あれ、ゲーセン出たやん」
「これじゃ、気付かれずに追いかけるの難しくね?」
氷鉋さんはゲーセンで誰かを探すような素振りを見せ、探している人が居なかったのかキョロキョロとしながら外へ出ていった。
ゲーセンの中ってのはゲームの音でうるさい訳で気付かれずに後を付けるのは簡単だが、外に出られると一気に静かになる。
「ええやん、気付かれても。『たまたま行く方向が一緒なんですー』って感じで行こーや」
俺達は諦めずに氷鉋さんの背中を追い続けた。
何でもない雰囲気を二人で醸し出していたが、そろそろ『何でもない会話』も尽きてくる。
「『そ、そうやぁ~圭哉、今日の体育楽しかったなぁ!大活躍やったもんなー………あはは、』」
「『お、おう、楽しかったな。お前もシュート決めてたしカッコ良かったぞ』」
「えっ、ホンマに!?嬉し~♪どんぐらいカッコ良かった??」
「バカッ嘘だよ…!いいから目立つようにはしゃぐな…!」
「うっ嘘!?ちっともカッコいいと思わんかったん!?」
「ああもう嘘じゃねーよ!カッコ良かったから黙れ!」
端から見ればなんとも馬鹿馬鹿しい会話を繰り返していると、氷鉋さんは本屋へ入っていった。
………ってか、何でここまで付いてきてんだろうな俺…。氷鉋さんの顔を一目見るだけで良いのに、全然振り返りもしねーんだもん。
氷鉋さんは探していた人を見つけたのか、ジャージ姿のスポーツマンらしき人影に近寄り、何やら会話をしている。
俺達はというとその姿を本棚を挟んで、本の隙間から眺める事にした。
「…なぁなぁ、これってめっちゃストーカーチックちゃう??なんか興奮するわぁ~」
「うるせぇ」
ヒソヒソと話していると、急に氷鉋さんがジャージの男の肩に手を掛け、その拍子に横顔が見えた。
自然に笑いかけるような表情の中のどこか色気を感じる上目使い。
わざと空けているであろう胸元から指先まで白く美しい肌。
ゆっくりと相手に近づいて行く動作の優雅さ、美しさ……
「…確かに、綺麗だな………」
「ほんまや……………」
俺達は氷鉋さんの美しさに目を奪われ、じっとその先の行動を眺めようと目を凝らした。
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