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白川さんのお父さん ⑤
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水野には、浮気相手ではなかったし、浮気さえしていないようだと報告した。
水野が納得していない様子なのを見て、浅黄は続けた。
「白川さんって人は、お母さんの話を聞いて浮気をしてると思ったようだけど、お父さんの話も聞いてあげたのかな」
「そう言えば、お父さんから聞いた話は出てないですね」
「聞いてあげてたら、初めから浮気なんてしてないってわかったと思うよ。
そしたら、俺もこんなことやらずに済んだし」
水野は気まずそうな顔をして、湯呑を口元に持っていきかけたが、すでに飲み干した後だったことに気づいてテーブルに戻した。
「この辺で、他人の家庭に踏み込むのはおしまいにしたらどうかしら」
藍川がお茶のお代わりを注ぎながら言った。
「そう、ね」
水野は沈んだように答えた。
翌週、水野からその後の白川の父についての報告があった。
白川父娘で話し合い、結局、浮気話はお母さんの寂しさからくる妄想であると言う結論に至った。
結果、二人はなるべく、お母さんを誘って、どこかに出かけることにした。
本当にそれで解決するかどうかはわからないが、とりあえず、やってみるとのことだった。
「浅黄さんには、すっかり、迷惑をかけてしまってすみませんでした」
最後に水野はそう言って、頭を下げた。
「いいよ、べつに。
でも、もう二度とやらないけどね」
「そうですか?
結構、探偵の才能あるんじゃないですか?
亀ちゃんの弟子に推薦してあげましょうか」
浅黄は、そう笑う水野を見ながら、さっきまでの殊勝な彼女は演技だったのかなと疑った。
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