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ⅩⅠ
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俺が大学に入って、一月。大学にも友達が出来たのに、相変わらず一木からのメールが来る。
それに苦笑しながらも家に帰る。
「ただいま」
「おかえり、雪人。呼んでくれたら迎えに行ったのに」
これも相変わらずだ。四六時中、とは言わねえけど大体一緒に居ようとする。
「友達と帰れねえだろ」と言いながら自分の部屋に入ろうとすると、薫が言った。
「晩御飯は?何か食べてきた?」
「いや」
「そっか。じゃあ作っておいたから食べようか」
「は?何、暇だったの?」
「今日休みだって言っておいたでしょ?」
そう言われると、確かに朝……そんな事を聞いた気もする。
大学に行ってる間に完全に忘れていたが。
「忘れた」
「酷いなあ。ほら、手を洗って。食べようよ」
「……ん」
この一月で分かった事。薫は意外と料理を作るのがうまい。
本人は「自分一人で料理も出来ないとか情けないでしょ?」とか言ってるけど、
この前見たディスクで
「実は、薫が料理にハマってね。何でも、負けたくない相手が居るんだって」
と織部が教えてくれた。負けたくない相手というのは椎名さんで間違いなさそうだ。
織部が笑ってたぞ。試食ばかりさせられてちょっと大変だって。
「どうしたの?」
「いや」
それをそのまま薫に言えず、俺は黙った。椎名さんに負けたくないからって、どんだけだ。
頑張ったらフルコース作れんじゃねえのかとか思いながら、薫の料理を堪能する。
「学校、どうだった?」
「普通」
「普通って……。雪人らしいね」
「それ以外に言うことねえし」
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