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The wing which died surely turns into love
関係ないヤツ
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高校3年の10月。
佳梛が、休みがちになる。
暫く学校へ来なかった佳梛に、呼び出され、駅前に行った。
パーカーのフードを深く被った佳梛の姿。
周りを窺うように、忙しなく動く佳梛の頭。
佳梛の瞳が、俺を捉えた。
俺の瞳は、佳梛の変わり果てた顔に止まった。
右目の上が腫れ上がり、ほとんど開いておらず、左の頬も青く変色していた。
傍に寄った瞬間、佳梛は、俺の後ろへと視線を向け、驚いたように瞳を開いた。
「悪ぃ、結芽……帰って」
俺の肩をぽんっと叩いた佳梛は、それだけ言い残し、俺とは逆方向に駆けていく。
俺の横を2人の男が走り抜けていった。
佳梛を追う男たちを追う俺。
足の速い佳梛に置いていかれそうになりながら、必死に後を追った。
何度も角を曲がり、寂れた町へと向かっていた。
「わかった、わかったって。も、逃げねぇから」
嫌そうに放たれる佳梛の声と、見えた人影。
使われていない、古びたビルに連れ込まれる佳梛の影。
俺は、ビルを見上げ、気合いを入れるように息を吐いた。
何かに巻き込まれているのであろう佳梛を助けるために、一歩を踏み出そうとした瞬間、肩を捕まれた。
「こんなん見つけたんだけどぉ?」
羽交締めにされ、佳梛の前へと連れられた。
「くっそ…、離せよっ!」
どんなに暴れても、綺麗に固められた俺の身体は、びくともしない。
俺に瞳を向けた佳梛は、ぎゅっと眉根を寄せた。
直後、呆れたように笑みを浮かべる。
「関係ないヤツ、連れてくるなよ」
ふっと鼻で嘲笑うような音を立てる佳梛に、俺は、眉間に皺を寄せた。
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