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「……お前たちは朝から何の話をしている」
溜め息まじり、呆れたような声。唐突に介入してきた第三者に心臓が跳ねる。
「あ、西永くんだ。おはよう」
「ああ、おはよう、佐保」
「なんだ西永か」
「なんだとはなんだ」
「別に」
いつの間にか隣に立っていたのは、第三者と形容するには遠すぎる俺の親友だった。親友。少し距離を詰めすぎた気もするが、青春という名のマジックでどうとでもなる。
西永はともかく、佐保を親友とするのはいささかというよりもかなり違和感があり、友人、と譲歩した結果ですら拭うことの出来ない何かにつきまとわれている。ペットというやけにしっくりくる名称もあるが、自分の人間性を自分で疑いたくはない。
関係性に名前をつけたところで特に意義は生まれないので、今は思考の隅に追いやっておくことにした。
西永は俺の席の隣に腰をかける。ちなみに佐保は俺の後ろだ。コレがまた授業中によくちょっかいを出してくるので、俺は今のところ居眠りゼロという優秀っぷりを発揮している。
くじ運がいいのか悪いのかは微妙だが、退屈しないことだけは確かだった。
「一限って何だっけ」
机の中を適当に漁りながら、ひとりごとと問いかけの中間あたりを零す。
「現代文だよ」
「へえ」
意外にも佐保が律儀に答える。現代文の教科書とノートを掴んで机の上に置くと、ちょうど変な顔をした西永と目が合った。
「なんだよ」
「次は物理だ」
「…………」
ジ、と佐保を睨んでやれば音速で目を逸らされた。佐保は間違いなく意味のない嘘まで吐く人種のうちの一人だった。もれなく駆逐されろ。
現代文の教科書をしまうついでに大きく迂回させ、佐保の後頭部をそれで叩く。
「あー……、どうせ叩くならコッチにしてよ」
俺の眼前にずいっとケツを差し出してくる佐保に、この茶番を無視し始める西永。
重大なツッコミ役不足のために青い春が著しいエラーを引き起こしているが、悲しくもこれが俺たちの通常運転だった。
ギャグならまだしも、狂ったことにこれがラブコメってんだから救われねえ。
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