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冷静に考えてみよう。
俺が保健室にいることを知っていたのは西永と委員長だけだ。よってわざわざ俺の鞄を持って保健室を訪れたのはこの二人のどちらかということになるのだが――。
委員長、か?
沸き上がる疑念を脳内で即座に否定する。委員長ならそういう事情だと察した時点で保健室内に乗り込んでくるはずだ。ただでさえ例の案件で殺気立っている委員長が大人しく帰るわけがない。
それに委員長が俺の鞄を持ってきてくれる可能性は委員長が俺の鞄を持ってきてくれる可能性より低いだろう――つまりは皆無ということだ。
じゃあ、西永……、か?
「……そんなに俺を見つめて、何が望みだ、折原」
「人聞き悪ぃな」
次の日も、その次の日も西永は普通だった。何事もなかったかのように俺に接している。演技にしては出来すぎているし――西永でもないのか?
……じゃあ誰なんだよ。
分からない問題にぶち当たった俺は頭を掻きむしる。もう考えたくもない。誰だか知ったところで俺に得はないし、むしろ知りたくもないし、でも確実に誰かが俺の声を聞いていて――ああダメだ、頭がショートする。
「お前、また具合が悪いのか?」
西永が心配そうに俺の顔を覗きこむ。「ああ、その件はもう済んだ」「済んだ?」「……よくなったって意味だよ」思考がうまく回らず墓穴を堀かけた。あぶねえあぶねえ。
もうアレだ。俺と西永の会話を聞いたクラスメイトが放課後になって俺の鞄を発見、保健室に届けたはいいもののアレだったために扉の外に置いて帰ったとか、そんな結末でいい。つうかそれ以外は認めねえ。
よってこの問題は解決、俺が悩む必要もない。
「……はあ、」
なんでこんな必死になってんだか。
委員長にはもちろん、西永にバレたくねえからだけど。いやバレてる可能性の方がでけえんだけどさ。
万が一にも俺を見る目が変わるなんてことがあったら、それは絶対に避けたかった。
軽蔑にしろ、なんにしろ。
この先俺がノンケであるためにも――。
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