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【番外編】金と黒
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このお話は『リーマンと大学生1』に出てくる健人×明のお話です。
京介×旭と違い、過激な表現(CP以外の絡み、3Pなど)を含みますので苦手な方はご注意ください。
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ドンドンと響く音楽。紫の照明で淫靡な雰囲気漂うフロア。
どこかしらか、高めの声が聞こえてくる。音楽がうるさいからって大きい声を出しても平気と思ってるかもしれないが、意外と筒抜けになっている。それもそうだ。狭い個室のようなものがいくつもあるフロアだが、完全な仕切りなどない。全部やっていることが丸見え。
はあ、と吐息が漏れる。身体を揺さぶられながらふと頭を上げれば、女の子みたいな小柄な子が組み敷かれて善がっているのが見えた。そのもう少し先には金髪が揺れていて。
嫌いだ。そう思いながら、再びソファーに顔を埋めた。
御上明と中原健人は幼馴染みである。幼い頃から一緒に遊んで、学校も同じクラスになると二人で喜んでいた。
いつでも明るくてリーダー的存在の健人。人見知りが酷かった明は、どこにでも引っぱってくれる健人だけが頼りだった。小さい頃はヒーローみたいで憧れていて。けれど、中学、高校と一緒に男子校へ行き、憧れという気持ちは妙な変化をし始めた。
健人のことを好きかもしれない。
このことに、なぜか明は変だと思わなかった。明と健人の通う男子校は女に飢えている者がほとんどで、時々、その鬱憤を男で晴らすことがあるらしい。明は綺麗な顔立ちだったため、男から告白されることがよくあった。襲われそうになったことも。そういう気にはなれないと断っていたが。
元々、明は恋愛に興味が持てなかった。健人が世界の中心で回っていたというのもある。そして、その健人はいつも明の近くにいた。だから、他人が異性同性間で恋愛しようがどうでもよかったし、はたまた健人が好きかもしれないといって、健人とどうにかなりたいと思わなかったのである。
しかし、大学生になってからだった。
「明ー! 俺、彼女が出来た!」
「え……」
これまでのことが一瞬にして崩れ去った一言だった。
健人の言うことに大きなショックを受けている自分がいたし、その彼女を恨むくらいに嫉妬した。
健人をとられた。許さない。まさかそんなドス黒い気持ちがあったなんて。
「明は親友だし、一番に言おうと思ってな」
「……はは、そうなんだ。健人のことだから、彼女出来るの早いだろうなって思ってた。健人ってば大雑把だし、大事にしてあげなよ」
「言われなくてもわかってるってー」
健人の笑顔が痛かったし、健人を応援して自分自身を傷つけた。
なによりも健人に嫌われるのが怖い。それだけ、明には健人だけだった。気づいた時には、もう戻れないくらいに。
しかし、それから健人は彼女と二、三か月ほどで別れた。あまりにも早くて驚いたが、ほっとしたというのが正直大きかった。
「駄目だわ……高校の時は彼女作りてーって感じだけど、いざ付き合ったらめんどくさくて男とつるんでたほうが楽だわー」
そう言って健人はテーブルに顔を伏せる。
健人が彼女と別れた。それはそれで置いておいて、目の前にいる健人は見た目から前の健人とは違っていた。
「というか……どうしたの、その髪。耳もまたピアスの穴を開けたんだね」
大学に入ってからオレンジ系の茶髪にしていたが、今は眩しい金髪になっていた。耳朶だけに開けていたピアスも、軟骨に何個か開けている。
「んー、むしゃくしゃしたから染めてみたー。ねえー、今夜、友達と一緒にバーに行くんだけど明も行かね? 酒も解禁されたことだし、パーっとしようぜ」
友達って誰だろう。いつの間にそんな友達を作ったの。健人は先に進みすぎて追いつかないことがある。
置いていかないで欲しい。
「……別にいいけど……」
「んじゃ、決まり! あ、明もピアスしない? 絶対似合うと思うんだよなー!」
その日、明は目眩がするほどに新しい扉を開くことになる。ピアスもお酒も。そして、セックスも。
残念ながら、バックバージンは健人に捧げられなかった。お酒を飲んでいて酔っていたし、どれだけの人に回されたかわからないが、それだけは覚えている。何人目か記憶が朧気な時に、もしかしたら健人が抱いていてくれたかもしれない。
ただ後悔しても置いていかれるだけ。健人との終わらない関係に明は進むしかなかった。
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