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A certain days~双子の一日~
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僕らは、月杜学園ではちょっと顔の知れた二人組。
なぜって?
それは、授業や生徒会活動をこっそり抜け出してイタズラをしにいったり
校内で起こる恋愛イベントを目撃しに行ったりしてるから!
時には、恋愛イベントを起こすためにほんの少し、力添えをする事がある。
フラグを立たせるための大切な"ミッション"。
いろいろな所にテレポートして、さまざまな現場を見てきた僕たちが今、一番注目しているのは…颯都兄。
颯都兄がいる所には、僕らが出向かなくても自然とフラグが立つ。
「颯都お兄ちゃん、どんな生活してたらあんなにフラグ立つんだろ~?」
足をブラブラさせながら翔が発した一言。
あ、いいこと思いついた。
「覗いてみる?」
「え!」
「名づけて、颯都兄の一日に密着大作戦!」
「面白そう!」
「じゃあ明日から、ミッション開始ー!」
「おーっ♪」
―――翌日の朝。
食堂には、颯都兄と雪斗くんが食事を取りながら会話をしていた。
何気ない会話の中にも、どこか親しさを感じさせる二人。
近くの席に座って様子を見ていた僕らは顔を突き合わせ、小声で話す。
「…どう思う~?」
「あの親しげな雰囲気…どう考えても…何かあるでしょ」
「ほぁー!?まさか、フラグ成立中だったとはー!」
「それに、颯都兄と同室だよ?何もないはずない…!」
「そ、それって…!」
翔の鼻から興奮のあまり鼻血がタラリ、と伝う。
楽しくなってきた僕は、翔の耳元でそっと囁く。
「意識せざる終えません」
鼻元を抑えた翔が妄想を掻き立てられ顔を真っ赤に火照らせる。
手の隙間から赤いものが零れ落ちた。
―――授業中。
午前中は、運よく体育の授業が2-Aと合同だった。
これは天が僕らに味方しているとしか思えない!
競技はバスケ。
今は前半で、颯都兄と会長がチームになっている。
僕らは後半チームで、今はタイマーと点数係。
「会長と颯都兄がチームなんて、新鮮~!」
「めったに見れないイベントすなぁ」
「うぁー、レアだー!激写激写!」
「ムービーの方がよくね?」
「あ、そっか!」
翔があたふたしている間に、颯都兄が鮮やかにスリーポイントシュートを決めた。
思わずカメラを用意する手が止まり、釘づけになる。
「おぉー!かっけぇーーっ!」
「さっすが颯都兄!!」
「なんか輝いてるなぁ、颯都お兄ちゃん!」
確かに、スポーツをしている時の颯都兄はイキイキしているように見える。
点数表示をめくり、試合に見入られかけてハッと思い出す。
「翔、録画録画!」
「あぁ、そうだった!よし、録画バッチリ!」
翔が録画をし始めた時、相手チームからボールを奪った颯都兄が会長にパスを繋いだ。
会長がパスを返すも、既に何人かにマークされていた颯都兄は、軽いステップで取られないようにしながらバウンドパスで会長に繋ぐ。
それを受け取った会長が、素早く敵チームを追い抜き、ダンクシュートを決めた。
ほぼ同時にタイマーが鳴り響く。
僕らはどちらともなくハイタッチする。
「すげー!2人のチームプレイ!」
「チームとしても成り立つなんて、なんておいしいCP…!」
興奮冷めやらぬ僕らにとって、いつの間にか敵チームを応援してたとかそんな事はどうでもよかった。
…いいもの見れたー!
―――放課後。
満腹状態の僕らは、今日の収穫を次の本にどうやって生かすか、会話に花を咲かせながら廊下を歩いていた。
「っうわ!……ごめんなさ……」
と、前の曲がり角廊下でぶつかった人が資料を撒き散らしてしまっていた。
慌てて資料を集めるその人に翔が駆け寄ろうとするのを腕を掴み止める。
不思議そうな顔で僕を見る翔が、視線の先を追ってあるものに気づいた。
「あっ、ありがとうございま…」
「おぅ。此で全部か?」
資料を拾って手渡す颯都兄。
なんて世界は狭いんだ神様ありがとう!!!
心の中で叫びながらも、その光景を目に焼きつける。
「大丈夫か?」
「……だ…、大丈夫です!ありがとう…!」
颯都兄が問いかけると、その人は資料を受け取って頭を下げ、そのまま走り去っていった。
(ねぇ、慧。あれって…)
(うん。確実にフラグ立ったよね)
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