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新学期(8)
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シャン、シャン、シャン……。
白い鈴のついた神楽鈴が揺れ、始業式を行っている講堂に鳴り響く。
ステージ上には、花房と呼ばれる春の訪れを祝う巡華を行う理人の姿があった。
鴉の面を被り、藍色の千早の袖をなびかせ流れるような美しい舞を舞うその姿は、講堂の全てを釘付けにした。
曲を奏でる守人の前で、楽師がそれぞれの禊法を行う隊形を組む方法は、卒業間近のクラスにしか出来ない高度な技術である。
節香を行う鉄平と奏歌の吹雪は客席から見て左側に寄って、理人の蘭舞を邪魔しない程度の禊法を行う。
神力の流れをより繊細に感じ取れる者程、力が強い。
理人は、とても強い力を持っているため、ほんの少しの神力の乱れが命取りになる可能性がある。
楽師は、餓鬼を直接滅することの出来る唯一の存在ではあるが、弱い。
神の力を分けてもらった分、普通の人間より脆いのだと言われている。
禊法を行う間、守人が曲に守護の陣を乗せ楽師を守らなければならないのもその為だ。
禊法を行い餓鬼を滅しようとすれば当然、餓鬼も攻撃をしてくる。
もちろん狙われるのは、楽師であり、より強い力の者である。
祭りなど祝い事であろうとなんだろうと、禊法を行っている最中は、餓鬼が禊法の妨害をしてくることは常にある。
どんなに警戒し、守札を貼ってもやられる時はやられる。
シャリン……。
理人の神楽鈴の音が一際大きく響いたと同時に、ドゴォンと大きな音がして地面が揺れた。
「何者だっ!?」
始業式の進行をしていた副校長の冲永が大きな声を上げると、黒い大きな鬼が現れた。
餓鬼である。
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