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鈴蘭、始動。(4)
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涼介が理人の命令に従い、鈴蘭の全員を集めた。聖夜も、涼介が生徒会室に呼びに行けば、すんなりと解放され、全員がサロンに集合した。
「まずは、状況の整理をする。」
皆がソファに座ったのを確認して、理人がそう言うと、聖夜が手を挙げた。
「じゃあ、俺が説明するね。」
「ん。」
「俺と怜はいつも通り、Aクラスの生徒を観察してた。Aクラスは、サロンのテラスでよく談笑してるから、下の中庭から様子を見てんだ。暫くして、突然1人の男子が凄い勢いで立ち上がった。内容はよく聞こえなかったけど、かなり怒った様子だったし、彼の名前を呼ぶ大きな声が聞こえて、俺達は彼を追いかけることに……で、普通科の階段の踊り場で言い争ってる所に遭遇して、その時は一方的に何かを言われている様子だったけど、Aの男子が先に何かを言ったらしい。それで、普通科の生徒から揉み合いを始めて、止めに入ろうとした瞬間に階段を踏み外して普通科の生徒が落ちた。……というのが一連の流れ。ここまでで気になることは?」
「はい。」
すっと手を挙げたのは、流生だ。
「流生くんどうぞ。」
ニコニコと流生に発言を促すと、聖夜はチラリと理人の様子を伺う。やはり、靴を脱いでソファに三角座りしていた。
「当事者二人の名前は、分かりますか?」
「ああ、ごめん忘れてた。楽師科Aクラスの斎藤竜也(さいとうたつや)と普通科Bクラスの牧野綾斗(まきのあやと)だよ。」
「綾斗!やっぱりだ!アイツ、最近よく普通科の子に聞くんですけど、乞い乞い(こいこい)に手を出したらしいんです。今回の事件には関係ないかと思ってたんですけど……。」
「乞い乞いってあの、乞い乞い?」
目をまん丸にして鉄平が言うと、その隣で涼介が首を傾げる。
「なんですか?それ。」
「リョーちゃん!〝乞い乞い〟って言うのはね!餓鬼を呼ぶ術で、世界の禁忌と言われてる危ないやつなんだよ!」
「鉄平、落ち着け……涼介、乞い乞いは、別名〝餓鬼召喚の義〟と呼ばれる禁術だ。召喚者の命……まぁ、寿命だな。それを吸わせて餓鬼を呼ぶ。しかし、ただの人間には出来ないはずだ。」
涼介とは反対側の鉄平の隣に座る香が詳しく説明をしてやる。なるほど、と納得した涼介がソファに座っている団員達を見渡すと、各々難しい顔をしていた。しかし、素直に疑問を投げかければ、以外にも理人が答えてくれた。
「なぜ、ただの人間には出来ないのですか?」
「涼介、お前はなぜ家から追い出された?俺達はなぜ今ここで慧の出した課題を片付けようと必死になってる?」
「……神力、異能力、ですか?」
「そうだ。守札に異能力を持つ守人の字が必要なように、召喚に必要な陣を張るにも、異能者の〝字〟が必要だ。」
「では、牧野綾斗は異能力があるということですか?」
「……そうなるな。」
またしても皆難しい顔をする。
やはり、初任務にしては難解過ぎる事件を任されたなと、流生は1人思った。
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