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翌日。
昼過ぎに藤堂さんの部下…というか、正式には構成員の人がやってきて、食材と調理器具を買いに行ってくれると言うので、ほしい食材をメモに書いていく。
昨日の今日でもう用意してくれるなんて思ってもみなかったから、料理のことなんて全く考えていなかった。
とりあえず、最低限要るのは肉と野菜と卵、それと調味料かと思いながらペンを走らせる。
必死で考えながら書く俺を笑うでもなく睨むでもなく、ただ見ているだけの構成員さん。
藤堂さんの近くにいる人なら藤堂さんの好き嫌いが分かるかもしれない。
そう考えた俺は目の前の構成員さんへ声をかけた。
「あの…藤堂さんの部下さんっ、藤堂さんって何が好き、ですか?」
「錦(ニシキ)です。んー、何でも食べられるかと。あ、一度ハンバーグがどうとか聞いたような…」
よし、それだ!
錦さんにはちゃんとお礼を言って、ハンバーグに使う食材をメモに書き足していく。
メモを書き終えると錦さんは買い物へと出かけて行ってしまった。
1時間程して再びやってきた錦さんは両手に大きな袋を持っていて「メモ通りに用意しましたので、冷蔵庫への移動をお願いします」と袋を床に置いた。
中は一つの買い忘れもなく完璧に揃っていて。
「それと、若頭からこれを渡すようにと」
そう言って出してきたのはスマホ。
「この中には現時点で若頭と豊島幹部、私の計3名の登録がしてあり、何かあったらこれで連絡を、とのことです」
一応有り難く受け取っておいたけど、何かあったら…ってたぶんない。
ではこれで、と錦さんが帰っていった後、しばらくして先程渡されたスマホが鳴った。
画面には藤堂龍志と表示されていて俺は慌てて応答ボタンを押した。
『俺だ。今日は8時には帰れそうだ』
そうは言われても何の報告だろう。
帰宅時間を知る必要なんてないのに。
現に昨日だってその前だって帰宅時間なんて知らされず、ドアの音で帰宅を知ったくらいだ。
「あぁ…はい」とだけの返事に、はぁぁっと溜め息らしきものが聞こえる。
もしかして怒らせちゃった?
『飯、作ってくれるんだろう?そのために帰宅時間を知らせているんだぞ』
あ、そういうことね。って、えぇっ!?
まさか昨日の今日でこんな展開になるとは思っていなくて、急遽夕飯作りをすることになって驚きを隠せない。
電話を終えた後、急いで評価が高いレシピを調べて作ったハンバーグは、焼き加減も良く形も綺麗で見た目はまぁ良い方だと思う。
ハンバーグだけじゃあ…と思って野菜も盛り付けたし、ソースもデミグラスと照り焼きと和風の3種類用意した。
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