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エリックの母
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一人扉の前に取り残され、
どうしようと途方に暮れる。
とりあえず、ここで待ってるしか…
そう思った瞬間
ガシャンッ!
大きな音がした。
近くの部屋からだ
急いで見に行くと、音がしたのは
キッチンからだった。
大きく綺麗なキッチン、そこに女の人が
調理器具の中でうずくまっていた。
「大丈夫…ですか?」
近寄ると、女の人は顔を上げ頭を振りながら
「大丈夫よ」と微笑んだ。
優しい、微笑みだった。
40代後半くらいだろうか。それでもかなり
若々しい感じがする。
ブロンドの髪に、人懐っこそうな青い目の人。
それだけでわかった。
この人は、きっとエリックのお母さんだ
その人が周りに落ちている調理器具を
拾い始めたから、俺も手伝う。
「ふふ、ありがとう…ダメね私ったら…
お茶を出そうとしたら届かなかったわ。」
その人が指差した所には、ピンクの薔薇の
模様が入ったポットがあった。
調理器具をしまい、その横にあった
ポットとティーカップを取り出す
「ありがとう。今使用人の方もみんな
クリスマス休暇中だから、私がお茶を
お出ししようと思って…」
俺からティーポットを受け取りながら
そう言うエリックのお母さん。
「そうだったんですか」
そう返すとエリックのお母さんは俺を見て、
満足そうに微笑んだ。
「あなた、エリーの大切な人、ね?」
エリー?誰だエリーって
「えと…?」
「私ね、あの子から聞いてたの。エリックよ、
『帰るけれど、俺の一番大切な人を連れていく。』
って」
エリーって…エリックのことか
可愛らしい名前からどこぞやの少女を
想像してしまった。
それに…『一番大切な人』実際言われた訳
じゃないのに、少しだけ頬が緩んだ。
「嬉しいわ。こんな素敵な
お嬢さんを連れてきてくれて」
ニコッと綺麗に微笑むエリックのお母さんに
俺も釣られてぎこちなく笑顔を返す
それと同時に罪悪感も出る。
エリックのお母さんは軽く鼻唄を歌いなかがら
戸棚から缶を出し、開けた。
お茶を作ろうとしたらしく、「手伝います」と
言ったら「いいのよ、お客様なんだから」と
笑顔で返された。
「何がいいかしら?ストレートティー?
それともあの人が好きなミルクティーか…あら!」
突然動きが止まる。どうしたのかと
声をかけようとしたら、クルリと振り返った
「私ったら、茶葉を買い忘れてたわ」
悪戯がばれた子どものように、
照れ笑いをするエリックのお母さん
上品な見た目とは反対にとてもお茶目な所が
あるその人を見てるだけで、
自然と笑みがこぼれた。
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