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何となく名前の響きが似てるってだけで言ってみたのだけど、その名前を聞いた途端朋也の顔が変わった。
「そう!それだ!榊くん!思い出したー!」
朋也は、嬉しそうに椅子に座りながら小さく飛び跳ねる。
ダメ元で言ってみただけなんだけど、まさか当たりとは思わなかった。
しかし榊に燕尾服ねぇ...。
『従順そうに見えて下克上とかしちゃう執事』ねぇ..。
確かにちょっと似合いそうというか、あいつの性格には合ってそうかも。
喋ったこともないだろうにそういうのイメージ出来ちゃうもんなのか。
中塚ってすげぇ..。
「だけど優真よく知ってたな。優真はこういう話題興味ないだろ」
「ん?あ、ああ...。まぁ、たまたま」
「ふーん...?」
朋也の鋭い指摘に、ギクッと肩が揺れた。
全然もの考えずに言っちゃったけど、そうだよな。
普段こんな話しない俺が後輩の名前知ってるなんて普通に怪しまれるよな。
ルームメイトだって言っちゃってもいい気もするけど、この流れで言ったら朋也の場合、変に興味を持たれて面倒臭いことになりそうだし...。
適当に誤魔化してみたものの、朋也の声音はまだ少し疑ってるみたく聞こえた。
「まぁ、いいけど。でさ、その榊ってやつともう一人、中塚的にどストライクな一年がいるらしくてさーー・・・」
しかしあっさり流してくれた朋也は、すらすらと話を続ける。
妙なところで聞き分けのいい朋也に安心しながら、俺は彼の話の続きに耳を貸した。
どうせすぐバレることだし、榊のことは朋也がもう少し興味を失くしてから話そう。
俺はそう心に決めた。
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