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03
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そんな事を考えながら歩いていると
もう学校の門が見え始めた
やっと着いた…
門をくぐり、生徒玄関へと向かう
下足箱から上履きを取り出し履き替える
そして自分のクラスへと向かった
教室に入ると
俺は窓際の一番後ろある自分の席へと向かう
カバンをおろし
イスに座った
前の席は偶然にも紘だ
琉衣の席は廊下側の一番後ろ
その前の席が愛斗だ
「ねぇねぇ、歩夢」
「ん?どうした?」
「…歩夢は何に悩んでるの?」
「…………え?」
紘のいきなりの言葉に
俺は驚いた
「だって…最近歩夢元気ない」
「そうか?いつも通りだけど…」
「…まーくん?」
「え?何で?」
いきなり図星をつかれ
俺は少し戸惑った
こいつ…もしかして気づいてる?
「だって…歩夢、まーくんと琉衣くんの方見てる時…すごく悲しそうな目をするんだもん…」
「…………」
「俺には分かるよ。歩夢の事なら全部」
「…本当か?本当に全部分かんのか?」
「うん。分かる」
紘は真剣な目をして
俺の方を見ている
ったく…こいつには適わねぇや…
昔から天然そうに見えて意外と鋭い奴だった
「…歩夢。何かあるなら俺に相談して?力になりたい」
「……じゃあ…俺が何言っても引かねぇか?」
「引かないよ、絶対。約束する」
「俺の事嫌いになるかもしれねぇぞ?」
「嫌いになんかならないよ。絶対に」
こいつはすごい
俺のこと全て見透かして…
誰よりも俺のことを心配してくれる
だから俺は…紘には嘘がつけない
「…俺は…」
「…うん」
「…琉衣の事が…好きなんだ…」
「……うん。知ってたよ」
「…え?」
「ずっと前から知ってたよ。歩夢が琉衣くんの事が好きだってこと」
じゃあ…お前には
分かってたってことか?
もうずいぶん前から…
俺の嘘は全てお前にはお見通しだったのか?
「歩夢を見てれば分かるよ。琉衣くんを見る時の目は…恋する乙女そのものだからね」
「気持ち悪く…ないのかよ…」
「全然。てか、気持ち悪いとか思ってたら今こうして一緒にいないよ」
紘は優しく微笑んだ
こいつは優しすぎるんだよ…
この優しさに俺は
たまに甘えたくなる…
「紘には適わねぇよ…」
「ははっ…俺に適う奴なんていないよ?」
「自分で言うなよ」
「ははっ…冗談冗談♪」
楽しそうに笑う紘につられて
俺も自然と笑っていた
紘に打ち明けただけで
俺の心は少し軽くなった気がする
俺の気持ちは
琉衣には届かないかもしれないけど
それでも俺は…
君を思い続ける…
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