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思いの丈4
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【千秋】
冬弥に改めて言われ、本当は泣きたくなるほど嬉しかった
それと同時に、陽人に後ろめたさを感じていた
夏生の告白、陽人はどう捉えたのだろうか…
じっと夏生を見つめて、優しい笑顔を向けた…
夏生は陽人を追いかけてここまで来たんだ
選ぶのは夏生だろう
当然、そう思っていた
「おい、陽人…早く答えてやれよ」
冬弥が焦れったい陽人を急かした
何かを思い詰めたような陽人……
「ありがとう、もちろん俺は夏生を愛してる、これからもずっとそばに居てほしい…けど、」
「けど……なに?」
「千秋のことも好きだから、この気持ちはどうにもならない、本音を言うって決めたから、最低かもしれないけれど…」
「うん、いいんだそれで、俺も冬弥は好きだから…でも、千秋は冬弥のもんだし、そこはちゃんと理解しなきゃ…だろ?」
いつからこんなに理解あるやつになっていたんだろう
好きな相手にこんな事をいわれても、こんな風に言える夏生が本当にかっこいいと思った
冬弥もまた、それでもいいと答えた…
人の気持ちを縛る権利はない
なんて、そんなことを言えてしまう2人
成長していたんだ俺たち…
「で、結局は元サヤってことでいいの?」
4人が顔を見合わせる
不思議なくらいスッキリとした顔をしていた
「いいも悪いも…ねぇ」
「…うん、だって離れるなんて出来ない…もんね?」
例えば浮気をして、されて、グダグダになったとしても、帰る場所は決まっている
俺たちは今回のことで痛感していた
「色々思うことはあると思う、でも、今はこうして4人で居られることが大切なんだってわかっただろ?」
4人無言で頭を下げる
わかっていたこと
それなのに、今はこうして中途半端な俺たちだった
「もう、ここでハッキリさせよう、じゃないと進めない、そうだよね?」
3人が頭を縦に振る中、陽人だけは少しだけ違う反応をみせた
それが何を意味しているか…みんなわかっていた
人の気持ちは、意識せずとも変化していくもの
絶対は無かった
だからこそ、曖昧な答えを出せないでいた陽人
おそらく、一番素直なのは陽人だと思う
「夏生、俺は嘘はつきたくない、だからこそ言う、俺は、夏生も千秋も愛している、どっちが上とかじゃない、ただ、今ずっと居たいと思うのは………」
夏生がじっと見つめる
冬弥も俺も、どんな答えが出ても受け入れられる気がしていた
むしろ、こうして素直に発言できる陽人がかっこいいし羨ましかった
本当は、俺たち3人も陽人と同じ気持ちだからだ
「夏生…ごめん、俺は勝手なことをしているかもしれないけれど、どうしても手放せないよ……こんな中途半端な俺でも、受けとめてくれる?」
今選んでいるのは夏生
ほっとしたと同時に、やっぱりかという思い、そして悲しい気持ちに埋め尽くされた俺がいた
陽人の温もりを俺は忘れないし、忘れたくなかった
だけど、それ以上に冬弥を手放せるほどの度胸もなかったのだから……
長い沈黙の中、冬弥が俺を抱きしめて泣いていた
俺も同じように冬弥と抱き合って…
夏生と陽人の出した答え
俺も冬弥も受け止めていたけれど、わかっていたとはいえそれなりにショックもあるわけで…
二人が帰ってからも、俺も冬弥も抱き合ったまま離れようとしなかった
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