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夕食を食べていると、和海がやって来た
「翔、こんばんは」
まだ芝居を続けているんだ
だから仕方なく付き合う事にした
「何が用事?」
「いえ、用事はありません」
「あそ」
白々しい芝居すぎてムカつく
燕羽を殺し、馬まで殺したくせに話しかけて来るとはね
「いかがですか?これから散歩でも」
散歩?
冗談だろ?
仕方ないので和海の頬を手で包んで尋ねた
「ずっと気になってたんだけど、どうして切り傷があるのかな?」
「これは、転んでしまいました」
残念な嘘
それは間違いなくガラスの傷なのにね
「和海でも転ぶんだ」
「人間ですから」
「怪我に障るからもう休んだら?俺も宿題あるし」
「わかりました」
「綺麗な顔が台無しだね」
「傷は綺麗に治します」
「あそ」
と言う事は、冬矢も怪我をしたはず
ざまぁみろだ
「翔」
「繭、どうした?」
「使われていない倉庫は明日の朝一に取り壊す」
成程ね
和海の反応を見ているのか
「そうなの?」
「使われていないと言う事はいらない物と言う事」
「だな」
静かに話を聞いていた和海が言った
「繭、塔と言いボート小屋と言い、最近は物騒ですしね」
「塔は老朽化が進んでいたから壊したけど、ボート小屋は知らない」
「そうでしたか・・・」
繭がそんなのに引っかかる訳無いのに
「でも、いらない倉庫は全て壊すから」
「全てですか?」
「和海が使いたいの?」
「いえ」
「だよね、和海はあんなに不潔な場所には行かないしね」
「そうですね」
「うん」
うさぎ小屋を作る場所がどんどん無くなるな
倉庫が全て消えたらどうするんだろう
「南棟の倉庫もですか?」
「南棟?」
「いえ、気のせいでした」
確かに言った
南棟の倉庫
こいつ、南棟に倉庫と言う名のうさぎ小屋を作っていたのか
いつの間に作ったんだ?
「僕はこれで」
「うん」
繭は偵察に行くつもりか
じゃ、俺は嫌だけど和海を引き止めておかないとね
「気が変わった、お茶でも付き合ってよ」
「喜んで」
「冬矢は?」
「部屋で休んでいます」
「そうなんだ」
その言葉を聞いた氷龍が食堂から出て行った
本当に冬矢は部屋にいるのかな?
どうでもいい話をしながらお茶を飲んだ
馬を殺したのはどっち?
「そう言えばさ、乗馬クラブの馬が殺されてたらしい」
「誰がそんな事を」
お前だよ!と心の中で叫んだ
「でも、逆によかったのかも知れないな」
「何故ですか?」
「うん、殺された馬なんだけど危険なウィルスを持っていたみたいで、どちらにせよ死ぬ運命だったみたい」
「ウィルスですか?」
「よくわからないけど、血液に触れたら危険なんだって」
「そうですか・・・・翔」
「ん?」
「用事を思い出しましたので、これで」
「わかった」
和海がいなくなった後、笑ってしまった
そんなウィルスなんかあるはずが無いのに
馬鹿な奴
「翔、冬矢は部屋に居た」
「二人が転ぶのはおかしいしね」
「何故怪我を?」
「楓のサッカーが上手だったからかな」
「まぁいい」
そして繭が戻って来た
「南棟にあった」
「そうか」
「それも壊す」
「ああ」
「他の倉庫に紛れていたから気付かなかった」
「あいつらも頭を使う様になったな」
「使っている倉庫も全て明日壊して新しい倉庫を作る」
「わざわざ?」
「一度、更地にする」
「わかった、好きにしろ」
「うん」
そうして次の日、倉庫は全て取り壊された
和海はその日、姿を見せなかった
精々、残念がるんだな
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