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転入しますがお気になさらず。9
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食堂に近付くにつれて人通りが多くなり、少しだけ落ち着いていた鼓動が、また、速まってきた。
同年代の学生の方々が、わらわらいらっしゃり、どうにも、落ち着かない。
彼らは、僕にとって、未知の存在だ。
一対一ならまだしも、こんなに、沢山。
目眩がしそうだ。
だが、逃げるわけには、いかない。
この環境に、早く、慣れなければいけない。
取り敢えず、今は、周りに注意を向けず、とにかく、歩こう。
震える喉から無理矢理長く息を吐いて、ふと神谷さんを横目で見た。
と、神谷さんと目が合った。
「どうかしましたか?」
「...食堂、やめるか?」
「どうしてですか?俺、お腹空いちゃいました」
「...そ」
それで会話は終わった。
僕達はそれきり一言も話すことなく食堂に着いた。
既に多くの学生で賑わっているが、テーブル同士が十分な余裕をもって配置されていて窮屈に感じさせない。
神谷さんが見つけて下さったおかげで、壁際の二人席というあまり目立たない席につくことができた。
「このタブレットでメニュー選んで、ルームキーかざせば注文できるから」
「わかりました。教えてくれて、ありがとうございます!」
メニューの種類は豊富で、和食や中華にイタリアン、メキシカン、フレンチなど、幅広く提供されているらしい。
一体どれほどのシェフが雇われているのか。
僕はオムライスを注文した。
予想より待たない内にウエイターの方がお持ち下さり、スムーズに昼食を摂ることができた。
失礼ながらも意外だと思ってしまったのだが、神谷さんの召し上がり方はとても綺麗だった。
高等部生としてといえど、食べ方まで崩す必要はないようだと安堵する。
食事を終えたので、部屋に戻ろうかとしたとき、突然生徒達が歓声を上げた。
あまりの大音量に驚いて浮かせていた腰をストンと下ろしてしまう。
神谷さんがうわと苦く呟いた。
このような大きな音がする中に身を置いたことのない僕は、何があったのか気になりつつもそれどころではなかった。
耳を塞いで俯き、早く止むことを願うしかない。
「生徒会の皆様だ!」
誰かがそう叫んだ。
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