アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
テンパリ
-
その日の夜。
点呼の時間がやって来た。
首のキスマークを見られたかもしれなくて、戀兎と顔を合わせるのに凄く緊張する。
一応ジャージを上まで閉めて、首元を隠した。
僕がソワソワしてドアの前にいるもんだから、檜山君が不審な目で僕を見る。
ーコンコン
扉をノックする音に、僕はすぐドアを開けた。
「こんばんは!」
「わっ、びっくりした…、こんばんは」
ノックしてすぐドアを開けたもんだから、戀兎が驚いてしまった。
気まずく挨拶するのもと思い、元気よくを意識しすぎて失敗してしまった。
戀兎は、ごめんと謝る僕を笑って、部屋の中の檜山君がを確認し、名簿にチェックをいれる。
「今日も、のぼせたの?」
「え?ううん」
「顔が赤いですよ、風邪?」
戀兎の手が、僕のおでこに触れ、僕は心臓が跳ね上がる。
「…んー、熱は無さそう?」
「だ、大丈夫、なんともないよ」
急に戀兎の綺麗な指が僕に触れるから、僕は言葉がうまく出てこなくなってしまった。
戀兎の手が離れる時、軽く僕の濡れ髪に触れた。
「そう。髪は良く乾かしてから寝てくださいね」
ニッコリ微笑む戀兎に、僕は、つられて微笑む。
「はい、乾かします」
「二人とも、お休みなさい」
「お、お休みなさい」
「お休みなさい有馬先輩」
戀兎がドア閉めて居なくなっても、しばらく動けなかった。
あの微笑みは、どう捉えたらいいのか…。
戀兎に触られたおでこに、自分で触れてみる。
戀兎の手はとても気持ちよかった…。
あっ!、テストの結果のお礼言うの忘れてた…。
あまりのテンパりぶりに、戀兎を観察する事が出来ず、キスマークを気付かれたのかどうか、戀兎がどう思ったのかちっとも分からなかった。
うう…こんなことでテンパってたら、マキさんには到底敵わない…。
僕がブツブツとドアの前で考え込んでると、檜山君の低い声が響いてきた。
「何を百面相してるんだ、悩み事か?」
「あ、いえ…違います」
「なんか敬語になってるよ…」
「あは…あはは」
僕は今日、何度百面相したのだろう…
僕が笑ってると、檜山君は呆れたようにため息ついて、そのまま背中を向けて布団に潜る。言いたくないならいいけどってことのようで、檜山君の優しさに感謝する。
僕もすぐに布団に潜った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
70 / 72