アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
僕と対等。
-
「そんな事ないさ。」
「真白は俺の世界を変えてくれたんだから。」
君はまたそれを言うのか。
もう、 聞き飽きた。
「....僕は...君のそういう所が嫌なんだ.......!!」
「.....僕のこと...何も知らないくせに.........
....なんでそんな事が...言えるんだ.......!
....ただの勘違いかも....しれないだろ....!!」
僕も彼に対抗するかのように、何回も言った言葉を言う。
「そんなことないってば。」
彼は傷つくであろう言葉を投げかけても、
笑顔のまま表情を崩さない。
「...霧咲君は...自分勝手だ..。
....僕の気も知らないで....そんなことを言って...。」
僕は彼のその優しさに甘えて、
今まで感じてきた思いをぶつけてしまう。
「...君と一緒にいると....
僕が僕じゃないみたいで.......怖いんだ....。」
自分はなんて酷いことをしているのだ。
こんな風に僕が感情を露わにするのはいつぶりだろう。
もしかしたら、初めてかも知れない。
霧咲君と出会ってから、
僕はどんどん変わっていく。
それが怖くてたまらない。
「真白は、 何をそんなに怖がっているの?」
霧咲君が少し間を置き、尋ねてくる。
答えて良いのだろうか。
答えてしまったら、失望されないだろうか。
僕の頭の中でその言葉がこだまする。
けれど、彼が知りたいと言うのなら、 言うしかない。
「...僕は君に沢山のものを貰った........。
...けど..僕は君に何もあげる事ができない.......。」
「...でも..僕は.....君と対等な関係でいたいんだ....。」
こんなことは僕のわががままでしかない。
霧咲君はこんな僕に失望するだろう。
「....君に出会ったせいで.....僕は我儘になっていく...
.....それが.....怖くて仕方がないんだ.....。」
いくら優しい霧咲君でも、呆れるに決まっている。
「.....これで君も..僕のことが嫌になっただろ....。」
これで僕は今までの生活に後戻りだ。
僕なんかと友達になってくれた人を、
これだけ困らせているのだから。
霧咲君は僕のことを 綺麗だ 天使だ などと言っていたが、
やはり僕は疫病神だったようだ。
初めて友達ができて、優しくされて、勘違いしていたんだ。
彼は、ゆっくりと話し始める。
「真白はやっぱり優しいね。」
霧咲君は、とても優しい口調でそう言う。
「いつも自分より、人のことを考えて行動してる。」
「俺は真白のそういうところ、好きだよ。」
違う。
僕の求める答えはそれじゃない。
「真白。 それは我儘じゃない。普通のことさ。」
「俺だって、真白ともっと仲良くなりたいとか、
真白の笑った顔が見たいとか考えてるよ。」
違うんだ。
僕は我儘になってしまったんだ。
もう、 君を困らせることしかできない人間なんだ。
だから、 そんな事を言わないでくれ。
「こんな俺は我儘で嫌になる?」
君はずるい。
僕はその質問に頷けないとわかっていて聞いてくる。
「.....いいえ........。」
霧咲君は太陽のような笑みを浮かべる。
「じゃぁ、 おあいこだね!」
霧咲君の顔をまともに見ることが出来ない。
見てしまうと、何故か泣きそうになってしまうからだ。
僕はこんなに泣き虫だったろうか。
「暗くなってきたし、ちょっと急いで帰ろっか。」
霧咲君は僕に一緒に帰るよう、催促する。
「ほら。 真白、おいでよ。」
僕はその言葉で、胸が温まる感じがした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 36