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壊れた日常 2
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黒田くんはこちらに背中を向けているので表情が分からない。
でも、女性はすごく嬉しそうな顔でしがみついている。
素人目にも、絵になる。といった様子だ。
周りをキョロキョロと見渡した黒田くんの表情が一瞬見えた。
焦ったような顔をしてた。
まぁ、外だしね。
俺は外に出るわけにも行かず、再び部屋に戻ってきた。
そしてあてがわれている自室に入る。
元々少ない荷物を直ぐに持ち出せるよう、まとめておく。
こんなにも早く、この日が来るとはな・・・。
あわよくば、もっとここに居たかった。
「キュー・・・」
ココアが鳴く。
「落ち着かない生活でごめんな。」
頭を撫でるが、ココアは鼻をピーピー鳴らしている。
「でもほら、やっぱり悪いからね。俺のせいで色々我慢させるのはさ。大丈夫だよ、ココア。また2人でちゃんと生活できるって。」
すると、カチャ、と玄関の開く音がした。
ドクン、ドクン。
心臓が鳴り響く。
コンコン、「タケ?入っていい?」
「・・っ!ど、どうぞっ!」
「ただいまー。あれ?えらい綺麗に片付けしたんやなぁ。」
「う、うん。ちょっと散らかってたから。」
上手くごまかせてるだろうか?
「そっかあ。俺も見習わんとなぁ。あ、今日、夜ちょっと遅なるから。夕飯は、昨日の残り食べといて。」
「うん・・・分かった。」
「ほんなら、シャワー浴びて来るわ。」
上手く、笑えてるだろうか?
「・・・うん。あ、俺、図書館行って来る。」
「はいはーい。気をつけてー。」
「いってきます。」
シャワーを浴びるってことは、つまり・・・。
これはやはり、邪魔者は俺なんだろうな。
あの時と同じ・・・
いつも、俺は邪魔者で誰かの代わり・・・・
ズキズキと胸が痛む。
・・・いや、仕方ないよ。
勝手に押しかけて、勝手に好きになってんだから。
そう、仕方ない・・・
ガラガラと崩れて行く。
黒田くんと過ごす日々が。
笑いあって作る夕飯。
ココアの散歩の時間。
ヘトヘトになったジョギングやストレッチ。
好きな人といて、ただただ毎日が楽しかった。
彼の笑顔が好きだ。
相手に気を使わせない気遣いが優しかった。
幸せだった。
そんな気持ちをもみ消すように、
俺は図書館へ向かって歩き出した。
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