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片思いを合わせて…
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視線が上げられない。
沈黙が重い。
ーーーあぁちくしょう、覚悟決めて来たハズなのに…!
この期に及んで、
御船の顔を見るのが、こわいなんて…。
「怖かった…、
おれがもし、
素直になったら、お前はどうするのか。
知りたくなくて。
それなのにお前は、おれのこと、…好きだとか言ってくるし、余計どうして良いのかわからなくなって…。
だけど、
おれが曖昧なままでいれば、お前はまだおれに飽きずに傍に、傍にいてくれると思って、
だから、おれは逃げた。
お前をおれに繋ぎとめておくために。
もっとも汚いやり方で。」
自分の気持ちだけを伏せたんだ。
御船から与えられる愛撫があまりに、心地よくて…。
「…お前を、独占しようとしたんだ。」
御船の視線が痛い。
実際見ることは出来ないけど、ただ一点に七瀬を見つめている事だけは分かる。
自分は、何の努力も代償も払わぬまま、
相手を自分の元に縛り付けておきたいなんて、
そんなの…、
「思ったんだ、おれは…、
会長のした事とおれのした事、
何が違うんだろうって…。」
ーーーもう駄目だ。もう限界…。
七瀬の瞳から涙が零れおちる。
一度零れてしまった雫は堰を切ったように次から次へと零れていく。
御船がわずかに、身を乗り出した気配を感じた。
「好きだ、御船…。」
御船の動きがまた止まった。
七瀬は涙を止めることも諦め、震え声で続ける。
言葉を失う前に、呆れられてしまう前に。
ーーー伝えなくては…。
「好きだ…、お前が。最初から…、
ずっとずっと、前から…。
卑怯な手を、使って、嘘ついて、ごめん。
自分でも自分が嫌んなるくらい、
お前が、本当はずっとずっと、欲しくて、たまらなかった…。」
許してくれ、
そう小さく呟いた後、これ以上、無様な泣き声を零さぬように、七瀬は強く唇を噛み締めた。
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