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アーサーとサランが先に食事をしており、後から着席したフィオリ、レミルも食事に手をつける。
「先にお食事をいただいてしまい…」
「気にするな、アーサー、サラン。待たせた我が悪いのだからな」
困り顔の2人を見、軽く手で制すフィオリ。
2人とも、瞳の色も似ているし、顔色を伺って眉毛を下げている表情もそっくりだ。
弟を初めてかわいいと思ったぞ…サランの効果か…
「子どもたちはどうした?サラン」
「まだお昼寝から起きなくて…連れてこようと思ったのですが、レミルさんによると、あの子たちは数時間続けて眠るのらしいので、お部屋のベッドにおいてきました」
「そうだな。それで良い。…?」
サランがもじもじ、と下を向いてはこちらを見る。その繰り返しに、我は何かしたのだろうかと考える。
ああ、もしや入浴時のあれか。
触れる、触れないの。
心で何か迷いでもあるのかもしれぬ。そっとしておこう。なにせ、子供を産んだばかりの母親には落ち着きが大切だと土産屋の女将も言っていたのだからな。
そうだ、1人で子を産み、育て、奪われて。目を開けると奪った本人がのうのうと愛の告白をしたのだからな。
サランも我を好いている、と言ったとはいえ、この生活は最近始まったばかりなのだから、サランを困らせる発言を控えなければ…。
フィオリは食事を始めた。
「あの、王様…えっと、お食事は美味しいですか?」
「?…ああ。それが、どうかしたのか?」
唐突な発言に少し戸惑ったものの、応答すると、あのかわいい笑顔をまた見せてくれた。
「はい…」
「、ああ」
何やら嬉しそうだ。分からないが、嬉しそうだし、かわいいので良しとしよう。
「あはっ、兄様。このお昼ご飯は、サラン様が手伝ったそうですよ」
「何っ?」
「あっ…アーサー様…」
「本当か?サラン」
「はい、勝手に…ごめんなさい…王様に、喜んでいただきたくて…」
「それは構わん。それよりサラン、とても美味いぞ。我は嬉しい」
目を合わせ、しっかりと伝えるとサランは頬を染めて嬉しそうに目を伏せる。むぅ…これはいかんな。手を出してしまいそうだ。初めてサランに会った頃は、サランの容姿など気にもとめていなかったが。
なんとも愛らしいではないか。
危なかった。あそこで婚約を破棄していたら…サランが他の者の手に渡るところであった。
そう思うと、確認したくなるもので。
触れるなと言われていたが、サランを抱きしめた。
「お、王様っ!?」
「あぁ…王よ、あなた…先ほどは見直したのに」
「えっ?レミルなんの話?幸せそうでいいじゃない」
困惑が隠しきれないサランと、冷たい視線を送るレミル、入浴時のいざこざを知らないアーサー。
ああ、やってしまった。しかし、しょうがないではないか…我のものか知るためには腕の中に入れないと分からないのだ。だが、
「…すまないサラン。あまりに幸せでな」
謝罪はせねば。
先ほどまで笑顔だったらサランの機嫌を落としてしまった…と、思ったが。
「は、はい」
真っ赤になって、抱きしめ返そうとするサランの姿に思考が止まりかけた。
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