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奏輝sid
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姫君とお茶をしてわかったことがある。彼は最高の女形になる。
彼は指先も細長く綺麗だった。
俺は彼の一瞬の笑顔に見惚れて、幸せな気持ちになった。彼の笑顔は人を幸せにする笑顔だと俺は思う。
姫君の演技を見てみたいと思った。
そんな事を考えながら部室に向かった。
部室に着くと新入部員(仮)達も舞台用の発声練習をしていた。
「おかえり、遅かったね。奏ちゃん」
「ただいまです。怜ちゃん。野暮用がありまして」
スカウトの件は異例な事なので秘密にしている。
「おかえり、奏輝。頼まれてた練習、舞台と映画の動きの違いと舞台と映画発声の違いの説明は終わった。
それで発声練習をしているところだ。」
「ありがとうございます。裕也先輩」
やっぱり、裕也先輩は頼りになる人だ。
「みんな初めまして。演劇部の部長の霧島奏輝です。ちょっとした野暮用がありまして、遅れましたが今から
参加するのでよろしく。」
「「よろしくお願いします」」
いい子達そうで良かった。俺は怒ることが得意ではないので、いわゆる不良タイプやワガママさんが居ない
か心配していた。
「でわ、発声の違いを実践形式で動きの復習を含めて、6人芝居で見ていただきます。その方がわかりやすいと思いますので。」
俺は即興芝居が出来る裕也先輩、怜ちゃん、茜ちゃん、荒太、薫を指名した。
茜ちゃんの名前は草彅茜(くさなぎ あかり)現在高3で女形No.2芝居の演目によって変るが裕也さんの相手
役を務めることが多い。薫の名前は藤田薫(ふじた かおる)高2で女形No.3と言われていて、芝居のほとんど
で荒太の相手役を演じている。
さすがにいきなり本番で6人芝居は難しいので軽く打ち合わせするため第二演技室へと向かう指示をした。
「軽く打ち合わせしてくるので、静かに待ってくださいね。」
俺はそう言い残し、第二演技室に入った。
「奏輝〜いきなり何やるんだよ。」
「映画と演劇の違いが分かりやすいのがいいけど、何の演目がいいかな…」
「考えてなかったのかよ…」
考えてた事はあるんだけど…この意見通るかな…とりあえず聞いてみるか…
「俺が考えてたのはインプロなんだけど…どうかな?」
「いいんじゃないか?ここにいるのはアドリブに対応出来る奴らだし」
「奏ちゃんが考えてるのなら賛成だよ。」
他のみんなも賛成してくれた。そしてテーマは舞踏会でのナンパという動きと発声の違いが分かりやすいの
をメインにした。
「でわ、急な無茶振りですが皆さんよろしくお願いします。あと、怜ちゃん、茜ちゃん、薫の3人は練習のスカー
ト履いて頂けますか?」
「奏輝さんどのタイプのスカートですか?」
「薫、同期だから呼び捨てでいいのに…スカートはLP(ロングパニエ)で色は何でもいいよ。好きなの選んで」
「はい!」
「薫、舞踏会の練習といえばロングパエニエだよ!そろそろ覚えて〜」
「茜だってよく聞いてただろw」
「それは…」
インプロの前なのにいい意味で緊張感がないところを見て俺は微かに笑ってしまった。
「も〜奏ちゃんがくだらない話をしてるから、笑ってるよ」
「怜ちゃん、くだらないから笑ってるんじゃないですよ!インプロの前なのにいい意味で緊張感ないなって思っ
てw」
「これが俺だからな」
「荒太…お前今話してたか?w今の台詞は裕也先輩が言って納得する事だぞw」
「え〜やだよ。ノーマルでは恥ずかしいしw」
「え〜俺が恥ずかしい奴みたいじゃないですか〜」
「「そうだろう」」
「二人ともひどいっす」
そんな事を話していると女形の用意も終わり第一演技室に向かい本番を迎える事にした。
「お待たせしました。今からインプロをしたいと思います。インプロとは即興芝居の事です。テーマは舞踏会で
のナンパで始めは映画のパターンでいきます。」
俺たちは5分を設定して演劇を始めた。
社交ダンスも披露して違いも分かりやすくした。
「次は舞台のパターンをお見せします。」
これも同様に5分演じた。
舞台の方が迫力があるせいか、新入部のどよめきの声が次々に聞こえた。
舞台の締めである挨拶もしっかり決めた。挨拶はメインの人(台詞があった人)がペアーの相手と一組ずつお
辞儀をしていくのだが、主演(ヒーロー)と副主演(ヒロイン)は最後に一人ずつ挨拶する。
やはりここでも怜ちゃんマジックが炸裂した。怜ちゃんはもちろん副主演なので一人挨拶なのだが、怜ちゃん
の挨拶の時の歓声が二倍とまではいかないがそれぐらいすごかった。
最後は俺が挨拶をし、みんなを集め、深々とお辞儀して幕を引いた。拍手が鳴り止むのを待ったがなかなか
鳴り止みそうにない…
「ありがとうございました。え〜」
徐々に拍手が鳴り止み、声を張らなくても良くなってきた。
「新入部の皆さん違いはお分かりいただけましたか?」
返事が聞こえ、一安心したところで時計の針が6時を指す手前だったので、解散を命じた。
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