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第三話 鏡の泉
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…ゥ……ショ…
「……ん…?」
「ショウ、起きろ」
「…ん~…」
「ショウ朝だぞ」
鳥の囀りに、心地良い声が混じる。肩を軽く揺さぶられ、ゆっくりと意識が浮上していった。
目を開ければ、七色に散らばる朝の光の中に妖精がいた。俺の顔を覗き込む綺麗な若葉色の瞳がキラキラと光っていた。
「ショウ?」
「ああ……レイティ」
ぼぅっとレイティの顔を眺めているとまた眠りそうに見えたのか、様子をうかがう呼びかけに応える。起きたのを確かめると、レイティはほんのりと微笑みながら立ち上がって言った。
「起きたか。ではショウ、水を浴びに行くぞ」
「…水浴び?」
レイティの言葉に、起き上がりながら聞き返す。
「うむ、近くに泉があるのだ。朝の水浴びは気持ちが良いぞ」
早く早くと追い立てるレイティの様子を見ていると、朝の水浴びがよっぽど好きだとみえて俺は無意識に微笑んでいた。
・・・
レイティに連れられて辿り着いた大きな泉には、既に何人かのエルフや、昨日は見かけなかった美しい生き物達が遠目に見えた。
白いユニコーンは静かに泉の澄み切った水を飲み、ガラス細工の様に繊細な蝶々はエルフ達と戯れ、キラキラと輝く羽を持つ白鳥の様な生き物は優雅に水面を滑っていた。
その美しい光景に思わず立ち止まる。
「ショウ、どうした?早く来い!」
レイティが待ちきれずに着ていた物を全て脱ぎ捨て、泉に入っていった。底が見えるくらい透き通った泉は、何も身にまとっていないエルフ達の躯を隠すすべもなく晒している。滑らかな白い肌が水面に反射する七色の光を浴びて美しい。ああ、此処は楽園か…。
「ショウ!」
「…ああ、今行く!」
眩しい光景に目を細めつつ、泳いだのか少し離れた所から手を振るレイティに返事を返す。脱いだ服をレイティと同じように樹の枝にかけ、少し冷たくて気持ちのいい泉に入って行く。下を見ると全くもって丸見えだ。…これ、自分が入ると滅茶苦茶恥ずかしいな…。
揺れていた水面が穏やかに凪いでいく。風も無く穏やかな朝だ。 ぼぅっと底に生える丈の長い植物を眺める。
まだ頭が覚醒しきれていない。
「……?」
水面に誰かの姿が映った。周りを見ても、皆から離れた位置にいる為誰も近くにはいない。もう一度水面を見ると、確かに男の姿が映っていた。手で男が映った水面に触る。男も同じ様にこちらに手を伸ばしてゆらゆらと揺れる。
「…っ!?」
俺は自分の顔に手を伸ばした。水面に映る男も自分の顔を触った。その表情は驚きにひきつっている。
「…何だ、これ」
かすれた、ほとんど息だけの声が出た。映った男も同時に唇を動かす。水に入っているというのに、口の中がカラカラに乾いている事に気が付いた。
「誰だ、これは…」
見慣れた黒い前髪に、自分の腕や手。スムーズに動く躯。脳にも、躯にも馴染んでいる感触。自分の躯のはずだ…これが、俺のはずだ…。
だが、この違和感は何だ。これは違うと何かが俺に訴える。これは、俺じゃない。驚愕の表情で俺を見てくる男の姿がブレていく。…俺は……誰だ…。俺は、ショウ……。ショウ……。それから……それから…何だ?
……俺は、誰だ…?
…………
………
…ゥ……ショ…
「…ショウ?」
「…っ」
気が付いたら目の前にレイティの綺麗な顔が迫っていた。
「ショウ…大丈夫か?」
「レイティ…」
俺の顔を覗き込むレイティを見てどこか安心した。しかしそこではたっと気付く。互いに全裸で真正面からくっ付いてる事に。
「顔色が良くないな、躯も、冷え切っている…」
心配そうな声で柔らかな躯を更に押し付けてくる。レイティの体温を感じ、確かに自分の躯が冷えているのを自覚した。
「朝の水浴びはショウの躯には合わなかったか…。戻ろう」
少し沈んだ声音で言って、躯を離し手を繋いで泉から上がった。俺は立ち止まって、もう一度泉に映る自分の姿を見た。…そこにはやはり、言葉に出来ない違和感を覚える自分が映っている。
レイティは持ってきた布を木の枝から取り、動かない俺を拭く為に軽く背伸びをする。
「ショウ、朝食は食べれそうか?…暖かな物を作らせようか?」
濡れた髪を拭きながら、俺の顔色を伺うレイティの細い腰を引き寄せ、抱き締めて深く口付けた。
「ぅ…んっ……ふっ」
唇を離すとぼぅっとしたレイティが俺を見上げている。
「今の…気持ちいいな…」
「…レイティはキスしたこと無いのか?」
「キス?無いぞ」
「そうか…」
「ショウの国にはキスというものがあるのだな。どういう時にするのだ?」
「キスは…そうだな、相手がとても愛おしいと思った時か」
「愛おしい…」
「ああ、レイティが好きで好きでしょうがなくなったから、キスしたんだ」
抱き締めたレイティの体温が直接伝わってくる。冷えた自分の躯が暖かくなっていく気がした。
「ショウ…ん」
レイティはその腕を俺の首に回し、深く口付けを返してきた。口内で絡み合う舌も熱くなっていく。
「ぼくも、ショウがすきだ…とてもとても…」
深く深く口付けながら、レイティを白い柔らかな苔の地面に横たえる。
「はっ…んぅ…ぁ…」
深く深く、角度を変えて何度も口付けをしながら、濡れた躯を隅々まで掌で愛撫する。レイティの躯は長い長い口付けと愛撫でとろけ、火照って薄い桃色になった。今度は唇と舌で、レイティの躯を味わう。細い首筋、浮き出た鎖骨をなぞり、柔らかな乳首を口に含む。
「ひぁっ…あっああっ…」
舌を尖らせ押し潰したり、舌全体でなぶったり、舌先で乳輪だけをなぞったりして味わうと、次第にコリコリと固くなっていった。ちゅっと音を立てて乳首から離れ、また、味わいながら下へ唇を下げていく。可愛らしいヘソの穴に舌を入れると、レイティの下腹に力が入るのがわかった。その固くなった下腹を通り、太腿の付け根をなぞって太腿の内側を舐めると、レイティが軽くその柔らかな両の太腿で俺の頭を挟む。浮いた足の間から見える穴に辿り着き、舌を伸ばして柔らかな体内を丹念に愛撫する。
「あ!んっぁあっ…あぅっしょぉっ…」
気持ちが良いのか、レイティはゆらゆらと腰を揺らしながら甘い声で俺の名前を呼ぶ。しつこいくらいにレイティの穴をほぐし、とろとろにした所でそこから離れた。
「あ……しょおの…おちんちん…」
レイティは俺の立派に育ったイチモツを見て、期待を込めた瞳で俺を見た。
「みるく、欲しいか?」
「んっちがっ…ほしぃ……しょおの、おちんちん…ちょぉだい…」
レイティはみるくではなく、俺のイチモツを求めて自らとろとろになった穴を広げて俺を誘う。
「ンンッ…あああっ…アあッ」
その姿を見て一気にいきたい自分を抑えつつ、徐々に全部を入れていき、収まった所でゆっくりとカリが引っかかるまで出してから再び前立腺を抉りながら奥まで同じ様に入れていく。そのペースがたまらないのか、レイティは躯を震わせ、いやいやをする様に髪を乱した。
「ひっ…ぁんっ…しょ、ぉ…」
甘い声で俺を呼び、レイティが腕を伸ばしたので近づくと俺の首に抱き付き口付けをねだる。それに応えて舌を絡ませながら突くペースを少しずつ上げ、入れる時には強く奥を抉る様にしていくと、先ほどよりもっとレイティの柔らかい胎内が俺に絡み付いてきた。気持ちが良過ぎて、最終的には激しくガツガツと突きまくる。
「んぅッ!…んんっ!…んっ!!…んンぁっ!…ふぁっ!!ァあああアあーーっ!!!」
とうとう唇も離れ、レイティは躯をびくびくと震わせながら小さなペニスから透明でとろとろとした愛液を吹き出した。同時に俺自身もレイティの柔らかな胎内に締め付けられ、奥深くに射精していた。
自身を胎内から取り出し、しばらくの間白い苔に覆われた地面に抱き合って寝転がる。自分を見失いそうになっていた俺は、今、とても満たされた気持ちでいた。
先ほど水面に映った自身の姿……何かが俺の身に起こったのは確かだろう。一体何が起こったのかはわからないが、俺は多分、違う姿をしていた。……どうしてこうなったのか、知る術はあるのだろうか。あるのなら………探そう。
レイティの温もりを素肌で感じながら、俺の思考は一つの目的を見つけていた。その時。
「!!…ショウ、あれは…」
レイティが驚いた声を出し、俺の後ろを凝視しながらゆっくり起き上がった。
「ん?」
俺もレイティにならい、躯を起こして視線の先を追った。振り返った少し先に白樹が茂り森が続いている。その一番手間の白樹の根元に、なんと先日王様が言っていたペニス型の白いキノコが生えていたのだ。しかも二又に別れていて、二つとも最大の俺のと同じくらいかなり立派な大きさだ。
「あれが、昨日言っていたキノコであろうか…」
「…間違い無いな」
俺達は急いで服を着た。
「本当に、ショウのおちんちんにそっくりだ」
レイティがいち早くキノコを観察する。だが珍しいキノコだからか、下手に触る事も出来ない。
「とりあえず、王様の書斎に行くか」
王様の書斎に行けば、俺の知りたい事も何かわかるだろうか。
「うむ。あ、まずは朝食だ。何か温かい物を食べよう」
◇◆◇
「あったぞショウ!これだっ」
何枚もの紙が綴じられた手作りの本を開いて、レイティは嬉しそうな声を上げる。覗き込めば、確かにあの卑猥な形のキノコのスケッチが載っていた。
「このキノコは、"雄珍穂茸"というそうだ」
「…は?」
「だから、"おちんぽだけ"。…ショウのおちんちんとちょっと名前が似ているな」
いやちょっと待て。
「ふむ。おちんぽだけは、オスしかいないため繁殖しない珍しいキノコで、その丈が穂のように長いからこの名前がついたみたいだ」
…にしても有り得ない。何この奇跡。
「"数十年に一度白樹の根元に生えるが、数日過ぎると無くなっている。その表面は固いが、温めたり解したりすると柔らかくなり、中にはとても濃厚なみるくが詰まっている。白樹の中身のみるくからつくられているのか、それともこのキノコから白樹のみるくがつくられているのか…危険な毒を持つわけではないが、詳しい実態は未だ不明。"と書いてあるな。…みるくが詰まっているのか…」
「…レイティ、さっき朝食に温かいみるくスープを腹いっぱい飲んだばかりだろう」
「む。そうだが…」
可愛らしく唇を尖らせるレイティを見ていると思わず和む。ちなみに白樹のみるくはエルフ族には貴重な栄養素で、そのまま食べる事はない。何かに混ぜたり薄めて食すのだそうだ。
「じゃ、さっきのキノコを採ってくるか。害も無い様だし、数日でなくなるなら、王様に渡して誰かに研究して貰った方が良いだろうし」
「ではぼくが採ってくる!」
「…二又だったからって片方食べる気じゃないよな?」
「ち、違うぞ!そんな事はしない!ちゃんと二又のまま持ってくるからなっ!!」
強く言い切ってレイティは籠に乗って降りて行った。開かれたままのページを見る。特殊な採取方法もない様だし、大丈夫だろう。そのページに栞を挟み、今夜王様に見せる為に資料を別の所に置いておく。
俺はキノコの資料を探しながら、自然とエルフの文字が読めている事に気が付いた。それに、エルフの言葉も最初から理解していた。この姿がこの世界で生きるのに何らかの役にたっているのかもしれない。
書斎の資料から、いくつか気になるものを手に取って読む。エルフの住んでいる森の絵が描かれたページを見ると、森の外の世界が無く、まるで森だけが宙に浮いている様だった。エルフ族はこの森から外に出たことがないという。ただ、稀に人が来て去っていく。
エルフの森に訪れた旅人について書かれた資料をめくる。訪れる者は学者や魔術師などが多い様だ。…てかやっぱいるのか魔術師…。勇者とか商人とかは来ないのか。訪れた学者達は何ヶ月か滞在してエルフの森について調べるらしい。お礼に研究資料の一部を王様に献上している。
不思議な事に研究資料で使われている言語はエルフの言語に近い。近隣諸国の学者なのだろうか。方言の様な違いはあるが、今の俺には言葉の壁など大した問題ではない。研究資料の中に、先ほどまで俺達が入っていた泉について書かれている資料を見つけた。
――"森の中心部にある鏡の泉。風の無い時には水面が鏡の様になる事からそう呼ぶ。鏡というものは歴代魔術など儀式的な用途に使われる事が多いが、この鏡の泉もエルフ族の儀式に使われている。エルフ族は満月の夜、泉に供物を浮かべて感謝の宴を行うのだ。
実際にその宴に参加すると、浮かべた供物がいつの間にか無くなっていた。流されたわけでは無い。どうやら鏡の泉は、満月を映す事により道となる様だ。"――
「…"道"?」
一体何の事だろうか。続く文章にはそれ以上、道の事について触れていなかった。"供物が消える""道になる"なかなか気になる単語が並ぶこの資料も、キノコの資料と一緒に置いておく。
それから俺は、今の姿や現状に何かしら関連性のある資料を探したが、めぼしいものは見あたらなかった。レイティがキノコを持って帰ってくると、道の事について聞いてみたが、レイティも知らない様だったのでこれも王様に尋ねる為持って行く事にする。
…今夜、三人に話してみようか。…俺すらもよく覚えていない、俺自身の事について…。
つづく
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