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気まずい、のは僕だけ。
周防君の転校初日に谷中君からは話すなと指示を受けていた。
簡単な会話も笑顔すらもいけないと。
話しかけられても一言謝って席を立ち逃げていたけど、この状況・・・・逃げれる所はどこにもない。寧ろこの状態で逃げるのはあまりにもわざとらしい。僕は眠たいフリをして俯きなるべく話さないように意を決した。
だけどそう簡単にいくことはない。
「郁ちゃんさ、ここ最近俺のこと避けてるよな。アイツにでもなんか言われた?」
「え?あ、な、なんのこと??」
僕は直ぐに顔を上げ周防君を見た。
相変わらず綺麗で整った顔だと思いながら、僕は必死に誤魔化そうとした。
「谷中だよ。アイツになんか言われたんだろ?見てれば分かるぜ~、俺を避ける仕草が不自然。人を避けるならもっと上手くやらないと」
そう言って周防君は僕の腕を掴んだ。
きっとこれは僕がこの場から逃げないように。
逃げるわけないのに、僕にそんな度胸なんてないのに。
「アイツはおかしい。どこがって聞かれたら分かんねーけど、普通の奴とは何か違うんだ。だって普通に考えてみて郁ちゃんみたいな子とアイツが連むのはおかしいだろ?裏があるよな」
周防君は僕に忠告してくれていた。
そんなこと分かっていた。
谷中君が普通ではないこと、僕みたいな地味なやつとは普通は連まない。分かっているのに改めて他人から言われると息苦しさを覚える。
「ん・・・・そんなこと、ないよ。谷中君はいい人だよ・・・・周防君を避けていたのは、怖かったから。それに・・・・谷中君と僕が連むのがおかしいなら僕と周防君が連むのもおかしいでしょ?」
僕は周防君の目をまっすぐに見つめ言い切った。
谷中君が危険な存在と言うのならば今目の前にいる周防君も僕にとって危険な存在。
僕と谷中君の関係に疑問を覚え探っている様子に見える。
僕は僕のために、谷中君との関係を守って行きたいと、考えている。
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