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50〔裏番外〕ゆくえ……
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マキと出会えた事へ感謝する。
こんなに大切な存在になるなんて…
惚れ薬で惚れた時の状態を、マキは、両思いのシミュレーションだと言った。
だけど、あの時の気持ちと今の気持ちは違う。
あの時より複雑で、あの時より遥かにマキを好きだと切望してる。
だが、一つだけ言えるのは、惚れ薬を飲まなくても、マキを可愛いと思ったと思う。
修二への思いが断ち切れずに立ち止まってどん底だった俺に、マキが言った言葉はどれも、惚れ薬が無くてもグサグサ刺さる言葉ばかりだった。
今は、そう思える。
マキはもしかしたら、惚れ薬がキッカケだと思っているかもしれないが、いつか機会があったら言ってやろう。お前ほど強烈なキャラは知らないと…。
はっきり言って、矢田より凄まじいインパクトだと。
賢史に一言メールしておこう。
流石に礼の一つも言わないと後々言われそうだからな…。
マキは。
俺の告白をあんなに喜んでくれた…
もっと、早く言えば良かったなんて思っちまうのは、ズルいよな…。
俺はずっと願ってた、いつか、いつかでいい、俺の事を好きになってくれる人物が現れて欲しい、そしてできれば…、俺が好きになった人を愛して…、愛されたいと…。
マキが…、そうなんだ…。
俺の…好きな人で…
俺を好きになってくれる人…
車で自宅に向かいながら、マキとの出会いを振り返っていた。
夜景のライトが流れる景色と共に、助手席で眠ってるマキの顔を照らして過ぎていく。
マキが眠ってしまってから気づいたが、マキは寝不足だったみたいだ。まぁ、昨日は殆ど寝かせてやれなかったし…、多分、俺にスープを作った日は、俺は寝落ちしたが、マキは寝てなかったんじゃないかと思う。
車が自宅に到着し、マキを起こさないようにそっと助手席から抱いて階段を上り始めた。
今日から…ずっと一緒だ…
この家で、マキとずっと一緒なんだと思うと、胸にジーンと広がる気持ちがある。
マキは、19だ。これから大人になって世の中に出て行く、もしかしたら、色々なものを見て、考えが変わる事もあるかもしれないし、出会いがあるかもしれない…。賢史が言うように、マキはモテるから…、選り取り見取りだろう…。
マキが、どうしてこんな俺を好きだと言ってくれるのか、ずっと不思議だった。
俺は、恋愛に溺れて執着して、タダでさえ乱暴な言葉しか知らなくて傷つける…。一つの事しか出来ないし、仕事も時間がバラバラだったり、泊まり込みがあったりで寂しい思いもさせる。危険な目にも合わせた。普通の愛し方もできない…
将来を考えると、モテるマキを繋ぎ止めておくのは難しいかもしれない…。かと言って、もう手放す気はない…。
ずっと言えなかった想いは、複雑で…
言ってしまえばマキを解放してやれなくなる。
不安や恐怖が消えた訳でも解消した訳でもない。
だけど、これで良かったと、俺と添い遂げられて良かったと、マキが思えるようにして行くから許して欲しい。
修二にあんな事をして…、奏一を傷つけ激怒させた俺が、マキの隣にいる事を許して欲しい…。マキを幸せにするから…、この腕の中にマキを抱きしめていられる幸せを許して欲しい……
こんな時ばかり、天に願いたくなる。
カミサマ…どうかマキを、茉爲宮優絆を俺に下さい。
檸檬「おかえりなさい…」
二階の事務所の入り口から声を掛けられて、我に返った。
そこには、心配そうな顔した檸檬が事務所のドアを開けて立ってた。
檸檬「…マキちゃん…大丈夫?」
俺に抱かれて眠ってるマキを見て、檸檬は良くない事を想像したらしく、恐る恐る聞いてきた。
檸檬は、今日俺が清史郎と話し合うのを知っていた。
百目鬼「心配ない。マキは疲れて眠っただけだ。清史郎はちゃんと説得できて、一緒にいる事を許してくれた。それを聞くために待ってたのか?」
檸檬「…心配だったんだ。家族の一大事みたいな気がして気が気じゃなくて…、百目鬼さんは俺の兄貴みたいなもんで、親父みたいな存在だから…」
家族……
檸檬「百目鬼さんの恋人のマキちゃんは、俺たちの〝アネさん〟になる訳でしょ」
百目鬼「おい、ここはヤクザの事務所じゃねぇぞ、感動して損した」
檸檬「ふふふ。俺、帰りますね。帰って杏子と矢田ちゃんに早く教えないと」
百目鬼「…心配かけて悪かった」
檸檬「ハハッ、楽しいっすよ♪」
面白がってんのか心配してんのか…。
事務所に鍵をかけ檸檬が階段をステップしながら下りていく。
百目鬼「檸檬」
檸檬「はい…」
百目鬼「ありがとな…、お前たちには感謝してる」
檸檬「ウハハッ、マキちゃんの天使効果?可愛くなりましたね百目鬼さん。俺たちみんなマキちゃんと百目鬼さんを愛してますよ♪」
檸檬は、むちゅッと投げキッスを飛ばして来た。ふよふよ飛んできた投げキスがマキに向かっていたから叩き落としたら、檸檬は爆笑しながら走り去った。
檸檬「ギャハハハ♪おやすみなさーい♪」
百目鬼「気をつけて帰れよ」
檸檬「アイアイサー♪」
っ…たく。
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