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ひねくれ者の、
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小森のアドバイス(?)から数日
季節はすっかり真夏だ
バイトの行き帰りだけでも大洪水ってレベルの汗で日に日に疲れが溜まっていく。
元々暑いのは得意じゃないんだ…
それに加えて異常気象言われるこの暑さ
金井に話があるといえば「ごめんね」の一言で未だに会えていない
俺がいない日でも来ていたバイト先にも顔を出していないようであからさまに避けられているのがわかる。
…むかついてきた。
なんで俺がこんなに待たされなきゃいけないんだ。
そもそもこないだのあれは勝手に勘違いした金井が悪くないか!?
よくよく考えて俺が悪かったところ…もあるかもしれないけどそんなもん知るか!
わがままだとか全部一旦ほっぽって理不尽でもなんでも今日こそあいつに会ってやる
家の前で待ち伏せとかすれば会えんだろ
決めた。今日あいつの家の前で会えるまではってやる
「伊澄〜これ、田中さんの所もってって」
「はい」
とにかく今は仕事だ仕事
店長の声にハッとして直ぐに皿を受け取り提供しにホールへ出る
覚えとけよ、いざとなったら…
『翔太なんて二葉が押し倒しでもしちゃえばイチコロだと思うけどね』
…いざとならないことを祈ろう。
、
「お先です」
制服を着替えてホールにいる店長に声をかける。
「おー、って伊澄!来週シフト締切だかんな〜」
「昨日提出しましたよ?俺」
たしかに昨日ハンコも貰ったはずだけど…
「あ、やべ。村前のと間違えてたわ〜すまんすまん」
「はあ、じゃお先です」
店長が間違えることはこれが初めてじゃないので慣れたように交わしいつもより軽い足取りで店を出る
「伊澄くんまたね〜!」
「おう!おいコラ村前!シフトだせ!!」
扉が閉まる間際に聞こえた村前さんと店長の声
相変わらず仲いいな。
既に日は沈んでいて、時刻は七時を回っていた。
とりあえず、向かうか。
既に何度か通った金井の家、予定も立てずに行くのは初めてだけれどそれに不思議とワクワクしている自分がいる。
電車に揺られ何駅過通過する。
馴染みのある駅で降りればモワッとした湿気を多く含んだ風に肌を撫でられる
夜だからって、さすがにもう暑いか…
日中の日差しに照らされるよりはマシだが夜は夜でより湿気が増している気がする
腕に張り付く袖を肘までまくりなんとか腕を外気に晒す
あつ…
じいさんの店とは反対のあまり慣れない道に足を進めた。
いつも金井の話に夢中であんまり景色をみていなかったから不安だったけれど見覚えのあるアパートが目に入った。
階段を上がって二階の奥、それが金井の部屋だ
いざ着いてみると途端に近著のせいか暑さのせいか手に汗が滲む
意を決してインターホンを押してみる
返事は返ってこず部屋の中からは人がいる気配もない
これは留守か?
もしかしてしばらく家を開けてる、とか…
いや、少しコンビニに出ているだけかもしれない
もう少し待ってみるか
邪魔かもしれないけれど通路の一番奥ということでドアの前にしゃがみこむ
もう少し、もう少しだけ待って帰ってこなかったら
やっぱり今日は帰るか
にしても暑い、なんかうちわでも持ってればよかったんだがな
ぼーっとする頭で考えているのは金井のことだった。
会いたい、触れたい、話したい
そういえば、いつも金井からだった
同じ気持ちだから言葉にしなくてもいいか、なんて思って
そうか、自分と同じなのか不安になるよなそりゃ。
素直な気持ち、か
なんかもう暑いし眠い。もう少しだけ、待たなくちゃいけないのに
空を見上げて細い月に願う。
待ち人よ早く来い
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