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頭痛ついでに聞いてみた。
「仲がいいのか?」
「お兄ちゃんと?仲良いよ。」
そーか。
お兄ちゃんと呼んでいるくらい仲良しなのか。
膝の上に抱きかかえた光太郎の首元に顎を乗せて、泣きたくなった気持ちを落ち着かせる。
会うなって言いたい。
だが、その一言は言えない。
だが。
「いつだったかの月曜日にさ。」
「ん?」
言っただろ?
好きだったやつのところに会いに行ったら、いくら過去の人でも嫌な気持ちになるって。
同級生になるんなら仕方ない。
しかも、小夜なら何事も無いだろう。
ネコ同士、舐め合って帰ってくるだけだ。
誰かが分かれば確かに不快な気持ちにはならなくなった。
あらかた、あの純粋な心に惹かれたんだろう。
俺だって手に入れたかった。
・・・手に入らなくて良かった。
「なんでもねーよ。ただな、俺は複雑だよ。」
「・・・ごめんなさい。」
首に噛み付いた。
「お前は俺んだからな?ちゃんと夜には帰って来いよ。」
「うん!ね、大輔さんと付き合ってること言っても良い?」
複雑だ。
「・・・名刺入れ、持っていくんだろ?ご予約お待ちしておりますって伝えてくれ。」
「わかった!」
がじがじ。
がじがじ。
甘い首筋をひと通り噛みつき終わって、気が済んだ。
膝から降ろして、朝メシを要求した。
「すぐ用意するね!」
冷蔵庫を覗き込んだ光太郎の背中に声を掛けた。
「カレシさんに伝えるように言ってくれ。山下は光太郎と付き合って幸せだって。」
「うんっ!」
振り返って、満面の笑みを浮かべた光太郎に笑いかける。
そう、俺は幸せだ。
お前たちに心を潰されたけど、かわりに光太郎が救ってくれた。
あ、そうだ。
「光太郎、今日の出勤簿、ちゃんと印鑑押しておけよ。これ、今日の分、前払いしてやる。美味いメシ食ってこい。」
「ありがとう!!」
「所得税とかは後の支給分で相殺すっからな。」
「はい!」
やれやれ、俺は甘いらしい。
とりあえずメシの準備が出来るまでに時間がある。
着替えを先にしておくか。
カジュアルなシャツに着替えてテレビを付ける。
今日のわんこに癒されながら、うちのわんこは最高に可愛いと思う山下だった。
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