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少しの沈黙の後に、先生がポツポツと再び話し出した。
「…話の続きだけど、退魔師の方は、その時の怪我が元で亡くなったんだよな?鬼の方は、どうなったかはわからないそうだ。まあ、片目と腕を失ったくらいじゃ、死にはしないだろうが。その時以降、その鬼を見かけた妖もいないから、今どこにいるかわからん」
「でもさ、それだけ人間を喰らってたんなら、またどこかで人間を襲ってんのかな…」
そう言って、隣に座る天清の身体がフルリと震える。
「そうかもしれないね。もし人間をまだ襲ってるなら、止めなきゃいけない。それにはまず、居場所を突き止めないと…」
「でも青藍、どうやって捜す?」
僕は、首を傾げて考えて「あ!」と声を上げた。
「なんだ?」
「どうしたの?」
「鬼の知り合いがいる…。というか、凛が昔、鬼に助けられたって話を聞いたことがある。すごく世話になったみたい。もしかして、その人に聞けば何かわかるかも…」
「へぇ、一ノ瀬の保護者代わりの椹木さん…だっけ?その人、人間なのに、妖に顔が広いよな」
先生が、感心したように大きな声を出した。
「まあ…凛も、かなりいろんな目に合ってきたみたいだから。早速今日帰って来たら、聞いてみるよ」
「そうだな。ということで先生、話は終わりました!後日報告に行くので早く帰ってくれ!ご苦労さまっ!」
「…おまえっ、押すんじゃねぇ!」
立ち上がった天清にグイグイと背中を押されて、先生は文句を言いながら玄関へと向かう。
渋々靴を履く先生の背中に向かって、僕は「先生、ありがとう」とお礼を言った。
「容易いことだ。また何かあったら、何でも言ってくれ」
僕が笑って頷くと、隣で天清が小さく「先生、ありがとな」と呟いた。
先生は、大きく目を見開いた後に噴き出して、笑いながら玄関を出て行った。
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