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凛の家の近くの神社から山に入り、全く人が入って来ない場所まで来て翼を出した。
銀おじさんが凛を抱き抱えて飛び、僕は耳と尻尾を出した天清の手を引いて飛ぶ。
天清は、人間の姿のままだと飛べないけど、この姿だと飛ぶ妖の手を借りると飛べるのだ。
天狗の郷への入り口を通り過ぎて、更に険しい山奥へと向かう。しばらく飛んで、少し開けた場所に銀おじさんが舞い降りた。
僕と天清も、銀おじさんに続いて地面に降りる。
僕は、翼をしまい辺りを見回した。周りを木々に囲まれている為、朝なのにとても薄暗い。空を仰ぐと高い木に阻まれて、青空が少ししか見えなかった。
「なんか、気味悪いな…ここ」
天清が、僕にピタリと寄り添いながら呟く。
「天清、妖が怖がってどうする。そんなんじゃ、青藍を守れないぞ」
「はっ!だっ、大丈夫ですっ。青藍、俺の傍から離れるなよっ!」
銀おじさんが、クスリと笑って凛の手を引いて歩き出す。
天清も僕の手を強く握ると、キョロキョロと辺りを伺いながら二人の後を追いかけた。
僕は天清の手を握り返して、天清の背負うリュックを見て尋ねる。
「ねぇ天清、そのリュック、何が入ってんの?」
「え?これ?今朝、凛さんから山に行くって聞いてさ、飲み物とかお菓子とかレジャーシートとか詰めてきた」
「…ピクニックじゃないよ?」
僕が呆れて言うと、凛が振り返って笑う。
「あははっ、ごめんごめん。俺、山に行くとしか言わなかったもんね。この前話した心隠さんの家を探しに行くんだよ。…まあでも、どこか景色のいい場所があったらゆっくりと休憩しようか?」
「いえっ、凛さんは悪くありません。それに山に行くのは本当だし、俺、初めての場所に行くの好きなんです。しかも皆で行くから、何かワクワクしますっ」
「天清くんは、本当に良い子だね。清によく似てるよ」
凛の言葉に銀おじさんが振り向いて、渋い顔をする。
「天清は清忠よりもしっかりしてるだろ。あいつはどこか頼りない。お調子者だしな」
「銀ちゃん、そう言いながら、清のこと可愛がってるじゃん」
「はあ?俺がいつ可愛がったんだ?あいつのことを可愛いなどと思ったことは一度もない」
「わかったわかった。でも、清は俺の親友なんだから、これからも仲良くしてよ?」
「…努力する」
不満そうな銀おじさんの顔を見て、凛が優しく笑う。
僕が二人を微笑ましく見ていると、天清がポツリと言った。
「あの二人、いつも仲良いよな。俺も、青藍とあんな風になりたい!」
「…うん。実は僕もそう思ってる」
僕と天清が顔を見合わせて笑っていると、「早く行くよ」と凛が呼んだ。
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